【観戦武官】(かんせんぶかん)

他国の戦争・紛争を観戦して戦況や技術を把握する目的で、戦争当事国の軍に士官を派遣する事。

制度上の起源は明らかでないが、同盟国間の連絡員から始まったものとされる。
19世紀半ば頃には、軍事研究上の目的で中立国から観戦武官を派遣する国際慣習が成立していた。

実際の戦闘には参画せず、多少の調査や質問は行うが、基本的にはただ観戦するのみである。
また、受け入れる側の軍隊は観戦武官を可能な限り保護する義務があった*1
しかし戦闘に巻き込まれて死亡したものと推定される観戦武官も数多い。
一方、実戦を除けば最も危険な任務の経験者であるため、後に名将として名を残した観戦武官も多い。

近代戦争における重要な慣習の一つであったが、陸軍機械化を契機に自然消滅した。
機動力有効射程の向上に伴い、一人の人間には全体像を把握できないほど戦域が拡大したためである。


*1 努力義務であって罰則や訴訟を伴うものではない。

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