【観艦式】(かんかんしき) †

海軍艦艇により行われる軍事パレード。Fleet Review.
（対外戦争の勝利や独立・建国・建軍記念日など）国家・海軍に慶事*1があった時や大演習の終了後などに行われるのが普通。

海軍の主力艦艇の大部分が参加することが多いため、かつては国の内外に向けて国家・海軍の威容を宣伝するのが目的であったが、近年では同盟・友好国間の防衛交流や国民に対する海軍のPRといった意味合いも濃くなっている。

一般的には、式場となる海面に参加艦船が停泊し、上部甲板に出て威儀を正した乗組員たちの前方を、観閲者（国王・大統領・首相など）の乗った艦が通過するという形式で行われるのが主体であるが、「観閲艦と受閲艦が互いに移動する」方式*2や、「陸上に立つ観閲者の前を受閲艦が低速で通過する」方式のものもある。


わが国では明治維新直後の1868年、大坂湾の天保山（現在の大阪市港区・大阪北港内）沖において行われたのが最初である。
このときは、明治新政府に帰順した藩の所有する艦船(6隻)とフランス艦1隻の計7隻を、明治天皇が陸上からご覧になられた。
以後、1940年の「紀元二千六百年特別観艦式」まで計18回行われたが、大東亜戦争の開戦と、その結果による海軍の解体に伴って廃絶となった。

戦後、海上自衛隊の創設に伴い、1957年に東京湾で再開され、その後毎年行われていたが、第三次中東戦争による石油ショックに伴い1973年を最後に中止。
その後、1981年に三度復活し、以後は3年に1回、「自衛隊記念日」である11月1日前後に行われることになった。

観艦式が行われない年は、陸上自衛隊または航空自衛隊がそれぞれ観閲式を行うため、3年に1度の持ち回り関係が維持されている。

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国際観艦式 †

観艦式には、時として海外同盟国の艦船が招聘されることもあるが、これを発展させた形で、複数国の艦船が一堂に集結して交流を深める「国際観艦式」という行事が毎年行われている。
2002年には海自の創設50周年（前身である「保安庁海上警備隊」創設の1952年から数えて）を記念して、日本がホスト国となって開催された。
このときに参加した国及び艦船（日本以外）は次の通りである。

  • 日本（ホスト国）
  • オーストラリア：FFG03「シドニー」（アデレート級(改オリバー・ハザード・ペリー級)フリゲート)
  • チリ ：BE43「エスメラルダ」（練習帆船)
  • フランス：FF731「プレリアル」（フロレアル級フリゲート)
  • インド：DOG60「マイソール」（デリー級駆逐艦)
  • 韓国 ：DDG971「広開土大王(クァンゲト・デワン)」・FF958「済州(チェジュ)」・AOR57「天池(チョンジー)」(広開土大王級駆逐艦・蔚山(ウルサン)級フリゲート・天池級補給艦)
  • マレーシア：FF25「カスツーリ」・LST1503「スリ・インデラ・サクティ」（カスツーリ級(FS1500型)コルベット、スリ・インデラ・サクティ級補給艦)
  • ニュージーランド：F77「テ・カハ」（テ・カハ級フリゲート）
  • ロシア：CG011「ワリャーグ」・FG937 R-18「タランタル�供廖Α�B345(877型)」（スラヴァ級ミサイル巡洋艦・1241型「タランタル?」級大型ミサイル艇・キロ（パルトゥース）級潜水艦）
  • シンガポール：LST208「レゾリューション」（エンデュランス級ドック型揚陸艦）
  • タイ：FFG421「ナレスアン」・FFG456「バンパッコン」（ナレスアン級(F-25T型)フリゲート・チャオプラヤ級(053HT型)フリゲート）
  • アメリカ：CG49「ヴィンセンス」（タイコンデロガ級イージス巡洋艦）

また、このときには郵政事業庁（当時。現在の日本郵政グループ各社）が、観艦式に参加したヘリコプター護衛艦「しらね」(DDH-143)*3、イージス艦「ちょうかい」(DDG-176)と、（艦を飾りつける「満艦飾」をイメージした）国際信号旗をあしらった図案の記念切手を発行したが、これは兵器を図案とした戦後初の郵便切手ともなった。*4

当時の発行案内（郵便事業株式会社webサイト内）

*1 王制の国であれば王家の慶事（新国王の即位や国王・後継者の婚儀など）があった際の式典の一環として行われることもある。
*2 現在、海上自衛隊が行っているのもこの方式であるが、更に展示訓練もイベントのメニューに加えている。
*3 当日は観閲者の小泉首相（当時）が乗艦し、観閲部隊の旗艦を務めた。
*4 この種の切手は終戦後、GHQの意向を受けて発行・使用が禁じられていた。

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