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*&ruby(かんせいこうほうそうち){【慣性航法装置】}; [#mc51c802]
Inertial Navigation System. (INS)~
[[航法]]支援装置のひとつ。物理学における「慣性の法則」を利用して現在位置を割り出すもの。~
高精度のジャイロと加速度計で機体の加速度を感知し、それを2回積分して位置情報を算出する((同様の原理は、カーナビなど大型の[[GPS受信機>全地球測位装置]]にも自律位置推定の手段として採用されている。&br;  ただし慣性航法装置よりも精度が大幅に低いため、数分程度の自律位置推定で大きな誤差が発生する。))。~
~
外部との通信を必要としないため、長距離を航行する[[航空機]]の多くが採用する。~
原理上相対的な位置情報しか算出できないため、出発前に現在位置の情報を設定しておく必要がある。~
ある程度以上の規模を持つ[[飛行場]]の[[スポット]]には、INSを設定するための経度・緯度情報が掲示されている。~
物理学における「慣性の法則」を利用して現在位置を割り出す[[航法]]装置。~
高精度の[[ジャイロ>ジャイロスコープ]]と加速度計で機体の加速度を感知し、それを2回積分して位置情報を算出する。~
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時間経過に応じて誤差が拡大するため、長時間の航行では他の航法装置による誤差修正を必要とする。~
1983年にはこの誤差が原因となって「大韓航空機[[撃墜]]事件」が発生している(概要は後述)。~
外部との通信を必要としないため、長距離を航行する[[航空機]]、通信に制約のある[[潜水艦]]などに採用されている。~
また、[[GPS>全地球測位装置]]の受信機も、通信途絶時の補助として慣性航法による現在位置推定が可能(ただし、精度は著しく低い)。~
[[弾道ミサイル]]・[[巡航ミサイル]]・[[対艦ミサイル]]の[[中間誘導]]にも用いられ、その場合は「慣性誘導装置」と呼ばれる。~
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[[誘導爆弾]]や[[ミサイル]]などに用いられる事も多く、この場合は「慣性誘導装置」と呼ばれる。~
主に長射程の[[弾道ミサイル]]や[[対艦ミサイル]]の[[中間誘導]]に用いられることが多い。

**大韓航空機撃墜事件 [#n5f67356]
1983年9月に発生した、ソ連空軍による民間機撃墜事件。~
慣性航法装置が主要因として取り上げられた事件であった。~
原理上、基準点からの相対位置しか算出できないため、出発前に現在位置の情報を設定しておく必要がある。~
ある程度以上の規模を持つ[[空港]]・[[飛行場]]の[[スポット]]には、INSを設定するための経度・緯度情報が掲示されている。~
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事故機はニューヨーク発・アンカレッジ経由ソウル行きの007便として飛行していた大韓航空の[[B747-230>B747]]([[登録記号>シリアルナンバー]]HL7442)。~
出発の際、乗員が慣性航法装置の設定を誤ったため、所定の航路を逸脱してソ連[[領空]]へ侵入。~
これを察知したソ連空軍は、同機を[[アメリカ空軍]]が[[威力偵察]]のために飛行させた[[偵察機]]と判断し、[[対領空侵犯措置]]([[スクランブル]])の実施を発令した。~
時間の経過に応じて誤差が拡大するため、長時間の航行では他の[[航法]]装置による誤差修正を必要とする。~
1983年に起きた「[[大韓航空007便撃墜事件]]」では、この誤差が事件の原因の一つと指摘された。~
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これを受け、[[スクランブル]]出動した[[戦闘機]](Su-7/[[Su-15]])の[[パイロット]]は「領空侵犯した」機体を視認するも、深夜であったため詳細の判断ができなかった。~
それでも辛うじて[[旅客機]]特有の特徴をいくつか見て取ったものの、欺瞞工作を施された[[偵察機]]であると判断し、無警告で[[空対空ミサイル]]により攻撃。~
機体は操縦不能状態で海上に[[墜落]]して爆散、乗客240名・乗員29名((うち6名は[[デッドヘッド]]として便乗していた非番の社員。))全員が死亡した。~
~
この事件を契機に[[国際民間航空条約]](シカゴ条約)が改定され、領空侵犯した民間機の[[撃墜]]が明示的に禁じられた((事件当時、[[国際民間航空機関]](ICAO)理事会では「民間機の[[要撃]]は避けることが望ましく、『最後の手段』としてのみ用いること」「いかなる場合も武器の使用は慎むこと」を勧告していた。))。


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