【核兵器】(かくへいき)

原子が分裂又は融合して別の原子に変わる時の、膨大なエネルギーを利用した兵器。

核融合核分裂に別れ、前者は極めて威力が大きく使い難いため戦略核?として使用されており、一般には水素爆弾が有名である。
後者は広島、長崎に投下されたいわゆる原子爆弾で、現在では戦術核?で主に使用されている。

強烈な光、電磁波、熱線、衝撃波?を伴い、周囲数キロ〜十数キロに極めて甚大な被害を及ぼす。
また、放射性物質により何年にも渡って、周辺環境を汚染する。

アインシュタインは特殊相対性理論において「質量とエネルギーは等価である」と説明し、その理論を元に質量をエネルギーに変換する事に成功したアメリカが、世界で初めて開発した。

〜原理〜
電子・陽子・中性子といった原子を構成している物質は、単体でいるときより、原子として結合している時の方が若干質量が軽い。これを質量欠損という。これは、上記のように結合するためのエネルギーが質量と等価であるためである。すなわち、結合が強ければ強いほど、構成している物質あたりの質量が軽いことになる。
さて、ある結合エネルギーEuの原子を分解するのに必要なエネルギーはEuである。逆に、単体の原子・陽子・中性子からこの原子を作り出すとEuのエネルギーが余る。つまり、結合エネルギー(Eu1)の低い原子から高い(Eu2)原子を作り出すと、余剰エネルギー = (Eu2-Eu1) > 0 となり、外部に放出されるのである。
ここで、周期律表を思い出して欲しい。周期律表では、水素(1:H)やヘリウム(2:He)という軽い原子、カルシウム(20:Ca)から始まり鉄(26:Fe)やニッケル(28:Ni)がある20番台、プラチナ(78:Pt)や金(79:Au)のある70番台、ウラン(92:U)のある92番、ほとんど人工物質である93番以降となる。結合エネルギーは鉄やニッケルで最も高く、そこから水素方向やウラン方向に向けて下がっていく山状のグラフとなる。
つまり、水素からヘリウムを作り出す核融合、ウランをキセノン(54:Xe)やクリプトン(36:Kr)などに分裂する核分裂は、いずれも結合エネルギーの低い原子を結合エネルギーの高い原子に変えているのである。当然余ったエネルギーが放出されることになる。
このエネルギーは、有名な E=mc^2 から導き出せる。生成前と生成後の原子の質量欠損差mは非常に小さいが、光速cの2乗が非常に大きいため、化学反応に比べて数百万倍もの効率を出すことが出来る。
ちなみに、鉄が最も安定した物質であるため、恒星スケールでの核融合は水素から始まり鉄までは進むことが出来る。すなわち、初期の水素のような軽い原子で占められていた宇宙は鉄までは核反応で作られ、それ以上重い物質は超新星爆発により中性子を付与して作られる。


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