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*&ruby(おとのかべ){【音の壁】}; [#ib354d76]
&ruby(サウンドバリアー){Soundbarrier};.~
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[[遷音速]]から[[音速>マッハ]]にかけて発生する、衝撃波による振動と巨大な[[抗力]]のこと。~
当初、[[プロペラ]]機が高速化する過程で、[[プロペラ]]の先端が音速に近くなると性能が出なくなることにより認知された。~
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[[音速>マッハ]]付近では、衝撃波が部分的に発生することにより[[抗力]]が急激に増加し、あたかも壁があるように思えるだけでなく、衝撃波により翼面の空気の流れが剥離するため、機体の制御が難しくなる。~
よって、[[遷音速]]を巡航するには、衝撃波の発生を遅らせる必要がある。~
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そのため近年のジェット機では、十分な[[後退角]]を付けて翼気流の速度を遅くするか、[[遷音速]]用の[[翼型]](ピーキー翼・リアローディング翼・超臨界翼等)を採用して、[[遷音速]]での巡航を可能にしている。~
逆のアプローチとして、衝撃波の発生を早い段階で行わせてしまい、音の壁を推力によって強引に突破する方法もある。~
[[超音速]]に達すれば抗力係数は下がり(抗力そのものは増加し続けるが)、機体の制御も遷音速時よりはし易くなる。([[F-104]]や[[ミサイル]]等)~
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以上のように、[[遷音速]]飛行と超音速飛行のどちらを重視するかによってアプローチが違う。~
[[戦闘機]]では、[[遷音速]]飛行に適したアプローチをする。~
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過去、音の壁には「悪魔が潜む」とまで言われ、未知の領域に挑んだ勇気ある者の多くが、壁を乗り越えることができず、空中分解する機体と運命を共にした。~
そのため、人類にはこの壁を乗り越えることが不可能であるとさえ言われた。~
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物体の対気速度が[[遷音速]]にある際、[[抗力]]・振動が急激に増加する現象。~
物体の一部のみが[[音速>マッハ]]を突破して衝撃波を発生させる事が原因とされる。~
また、衝撃波が翼面から空気の流れを剥離させるため、[[動翼]]による機体制御も著しく困難になる。

機体自体の前進だけでなく、[[プロペラ]]の旋回速度が[[遷音速]]を越えた場合にも発生する。~
このため、[[プロペラ]]駆動の機体は原理的に[[音速>マッハ]]に到達する事が不可能である。

>同様の理由から、[[ジェットエンジン]]も[[タービンブレード]]部分が[[遷音速]]に達すると正常に機能しなくなる。~
このため、[[内燃機関]]で[[超音速]]を実現するためには燃焼室に入る前に吸気を十分減速させておく必要がある。~
なお、排気は音速を超えてもかまわないため、[[ロケットエンジン]]は特筆するような工夫なく音速を突破できる。

[[遷音速]]で制御を安定させるためには、翼気流の速度を遅くする特殊な[[翼型]]を採用する必要がある((その知見を確立する過程で、多くのテストパイロットが機体の空中分解により命を落としている。&br;  実現されるまでは「音の壁には悪魔が潜む」「人類は音の壁を越えられない」などとも言われた。))。~
または[[推力]]に任せて超音速に到達する事でも制御は安定する。~
この二つは基本的に両立せず、[[戦闘機]]などは[[遷音速]]での挙動を重視し、[[ミサイル]]などでは[[超音速巡航]]を念頭に置く。


関連:[[X-1]] [[熱の壁]]


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