【伊400】(いよんひゃく)


旧日本海軍が第二次世界大戦中に建造した大型潜水艦
正式には「伊号第400潜水艦」と呼ばれ、部内では「潜特型」とも呼ばれていた。

日本海軍の作戦構想は基本的に「戦艦を中心とする主力艦隊同士の砲撃戦」であったが、この作戦構想での潜水艦は
「前方海面に進出して敵艦隊の兵力・位置・動向を探知、可能ならばこれに魚雷攻撃を加えて兵力を減殺する」
「主力艦隊同士の戦闘が終了した後は適宜夜襲を加えて残敵を掃討する」
という任務が割り振られていた。
このため、航続力の長い大型の「巡洋潜水艦」が多く建造され、また、一部の艦には索敵範囲を広げるために小型の水上偵察機が搭載されていた。

本艦型は基本的にこれらを拡大・発展させたものであるが、設計・建造に当たってはパナマ運河の攻撃が念頭に置かれ、搭載機は新たに開発された水上攻撃機「晴嵐」3機とされた。

当初計画では18隻を建造する予定だったが、戦況の加速度的な悪化により、就役できたのは3隻のみにとどまり*1、更に攻撃目標も、敵機動部隊の集結地であったウルシー環礁に変更された。

ウルシー攻撃を目指して航行中だった残り2隻(伊400・401)は東北沖で終戦を迎えてアメリカ軍に接収、検証が行われた後に海没処分されたが、本艦でアメリカ軍が得たデータは後に弾道ミサイルを搭載する「戦略潜水艦」として結実した。

【スペックデータ】
水上排水量:5,223トン(常備)
水中排水量:6,560トン(常備)
全長:122.0m
全幅:12.0m
喫水:7.02m
機関:艦本式ディーゼルエンジン4基×2軸(重油搭載量1,750トン)
機関最大出力:7,700hp(エンジン)・2,400hp(モーター)
最大速力:18.7ノット(水上)・6.5ノット(水中)
乗員:艦長以下157名
兵装:53cm魚雷発射管8基(魚雷20発)
   40口径14.0cm単装砲1基1門
   25mm3連装機銃3基9丁
   25mm単装機銃1基1丁
搭載機:水上攻撃機「晴嵐」3機


*1 そのうちの1隻「伊402」は航空燃料輸送用の潜水タンカーとして使われており、また、更に2隻が建造途中で工事中止となり放棄されてしまった

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