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*&ruby(あんさつ){【暗殺】}; [#f483cdca]
Assassination.

[[テロリズム]]の一環として要人を殺害すること。~
その目的に応じて「秘密裡の暗殺」と「公然の暗殺」に大別される。

どちらにせよ、暗殺は明らかに一般人や一般的犯罪者の手に余る行為である。~
訓練を受けた経歴があっても単独では不可能に近く((要人を密かに殺す事自体は困難ではあっても可能である。問題は、その後どうやって投獄も[[報復]]もされずに生き延びるか、であろう。))、ましてや、フィクション作品でよく見られるように「少数の[[傭兵]]を雇って殺させる」など論外である。~
一人の人間を確実に暗殺するには、情報収集や後方支援も含めて一個中隊規模の人員が必要とされる(([[スパイ]]主体の数百人体制で、ほとんどは"実行"に関与しない。公式に[[部隊]]として集結する事もなく、暗殺計画の存在さえ知らされない人員も多いという。))。~
~
法治国家においては、[[スパイ]]活動上の要求によって行われ、実行犯や黒幕が露呈しないように綿密な計画の上に行われる。~
事故や急病など自然な死に見せかけるか、でなければ専門の死体処理班を編成して身元確認を不可能にしてしまう。~
そもそも、暗殺を行う動機は「自分達にとって不都合な活動をさせない」事である以上、暗殺であったと発覚することはすなわち失敗を意味する。~
>政府の威信を損なう上に、遺族などが自分達にとって不都合な活動を起こすからである。~
ターゲットが国外の要人だった場合、問題はさらに深刻なものとなり、暗殺を実行するどころかその計画が露見することでさえ即国際問題に発展し、自国の[[法執行機関>司法警察]]によって捜査されることになれば、イモづる式に暗殺に関わった組織や過去の事件が暴かれる危険がある。
一般に、現代の職業暗殺者は[[特殊部隊]]の一員として[[軍隊]]や[[諜報機関>スパイ]]に籍を置いている。~
[[特殊部隊]]の任務はほぼ全て守秘義務を伴うため、誰が暗殺を担当するのかは普通明らかでない。~
また、[[特殊部隊]]としての身元自体も隠蔽され、[[報復]]から二重に保護されている。~
よって、守秘義務を守る限りは暗殺者でも一般的な家庭生活を送り、円満な老後を過ごす事ができる。~

一方、[[紛争]]状態にある地域での暗殺は半ば公然と行われる(イラクなどでは、[[テロ>テロリズム]]の首謀者等を潜伏する建物ごと[[空爆]]で抹殺する、という荒っぽい方式もしばしば実施されている)。~
そのような状況での暗殺は、敵に対する恫喝を主目的としており、実行犯は暗殺が行われた事実を可能な限り広く周知させようとする。~
ただし、[[紛争]]状態でも国際社会に配慮して密やかに殺害する場合はある((例えば、暗殺対象が危険を察知して国外に逃亡した場合。&br;  法治国家での暗殺には現地警察・他国諜報機関・警戒する対象本人などを欺く綿密な計画が必要とされる。))。~
**秘密裡の暗殺 [#w494ec8b]
法治国家における暗殺は、主に[[スパイ]]活動上の要求によって行われる。~
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どちらにせよ、暗殺は明らかに一般人や一般的犯罪者の手に余る行為である。~
訓練を受けた経歴があっても単独では不可能に近く((要人を密かに殺す事自体は困難ではあっても可能である。問題は、その後どうやって投獄も[[報復]]もされずに生き延びるか、であろう。))、ましてや(フィクションのように)[[傭兵]]を雇って殺させるなど論外である。~
一人の人間を確実に暗殺するには、情報収集や後方支援も含めて一個中隊規模の人員が必要であり(([[スパイ]]主体の数百人体制で、ほとんどは"実行"に関与しない。公式に[[部隊]]として集結する事もなく、暗殺計画の存在さえ知らされない人員も多いという。))、その中でも中核となる職業暗殺者は[[特殊部隊]]に相当する高度な訓練を受け、公的にも[[特殊部隊]]の一員として軍隊や諜報機関に籍を置く((実際には[[特殊部隊]]メンバーとしての身元自体も隠蔽され、[[報復]]から保護されている。))。~
失敗や政変に巻き込まれない限りにおいて、暗殺者も普通の兵士や市民としての収入を得て、一般人として家庭生活を送り、高齢になれば退職して円満な老後を過ごす事ができる((……おそらくは。))。~
機密情報を扱う場合、その情報は漏洩を防ぐために厳重に管理され、隠蔽され、必要な時には抹消される必要がある。~
人間の記憶もまた情報の塊であるから、記憶を抹消する必要に迫られる場合がある。~
そして現代に至るまで、人間の記憶を抹消する唯一確実な手段はその生命を絶つ事である。~
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この場合、実行犯や黒幕が露呈しないように綿密な[[作戦]]計画が立案される。~
「不都合な弁明」による機密漏洩を防ぐ事が目的である以上、事後に''暗殺であったと発覚する事は失敗に等しい。''~
暗殺対象にはほぼ確実に親族や同胞が存在しており、暗殺された事が発覚すれば[[報復]]が望まれる。~
そして暗殺に対する最高の[[報復]]は、被害者が行うはずだった「不都合な弁明」を遂行する事である。~
さらに、国外の要人に対する暗殺計画は[[紛争]]の引き金、あるいは外交上の失点にも繋がる。~
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また、法治国家に暗殺を正当化する法律はない((そんな法があるのなら、それはもはや法治国家ではない。))ため、暗殺者は殺人を企てた罪に問われる。~
当然、殺人事件を捜査する警察は余罪を追及し、過去の案件や背後関係に関する機密も暴かれる事になる。~
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実態としては、殺人の意図を隠蔽し、自殺や事故死に偽装する事で暗殺の事実を隠そうとする((古くは強盗などの偶発的な殺人を装う手法もあったが、これは陳腐化して用いられなくなった。&br;  訓練を受けた暗殺者であっても厳密な科学捜査を欺くのは不可能に近いため、事件性そのものを隠蔽しなければならない。))。~
交通事故・水難・泥酔・医薬品事故などを誘発して間接的に殺害する事が多い。~
また、遺族が沈黙したがるような痴情・悪癖・犯罪などの恥ずべき死因を偽装する事もある。~
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何らかの事情で偽装ができないか失敗した場合に備え、暗殺実行班とは別に「清掃」チームも編成される。~
暗殺後の現場に潜入し、血痕などの状況証拠を清掃して元に戻し、死体を持ち去って損壊・処分する。~
清掃チーム自体が痕跡を残さない限り、被害者が失踪した事実だけが残り、何が起きたのかは後々まで明らかにならない。

>とはいえ、清掃チームの出動は極めてリスクが高い。~
暗殺そのものは短ければ単独で数秒の接触を行うだけで終わるが、清掃を行うなら30分は現場に留まる必要がある。~
しかも特殊清掃器具を抱えて進入し、数十kgの肉塊を抱えて出て行くとなれば、もはや不審人物以外の何者でもない。~
人通りのある場所や、警備された邸宅などで暗殺の痕跡を清掃するのは事実上不可能である。

**公然の暗殺 [#a80e735a]
暗殺であったと発覚するリスクの最たるものは[[紛争]]の勃発である。~
逆に言えば、すでに[[紛争]]状態にあるなら公然と暗殺を行ってしまっても構わないという事になる。~
ただし、[[紛争]]地域であっても「国際社会に配慮して」秘密裡な暗殺が望まれる場合はある。

>例えば、暗殺対象が危険を察知して国外に逃亡した場合。~
法治国家での暗殺には現地警察・他国諜報機関・警戒する対象本人などを欺く綿密な計画が必要とされる。

もちろん、暗殺の実行犯は自分自身の生存を企図するので((生還を企図しない[[自爆テロ>テロリズム]]についても、暗殺を完遂するまでは生存する必要がある。))、[[報復]]を避けるための隠密行動が求められる。~
しかし、[[空爆]]で建物ごと抹殺するなど、隠蔽の余地もない純然たる[[軍事]]行動として実行される事も多い。~
実行犯自身も、[[軍事]]行動((国際的な慣習として「[[軍事]]行動として公に行われたのだから暗殺ではない」という事になっている。))が行われた事実を可能な限り広く周知させようとする。~
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また、こうした公然の暗殺については政治的判断が入り乱れるため、かえって真相が定かならぬ事が多い。~
例えば、「外敵によって暗殺された」事になっている人物が実は組織内部の政争で暗殺されていた、などという事例は少なくない。~
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また、権力者は個人的な怨恨のために暗殺者を動員する事があり、[[報復]]の連鎖によって状況が錯綜する事も少なくない。~
特に近代以前の世襲制・封建制においては、世代交代に際して権力を巡る暗殺の応酬が繰り広げられた事例が少なくない。~
加えて、そうした情勢下では質の低い素人暗殺者が投入されがちで、秘密が破綻して大混乱から[[紛争]]に至る事もままあった。


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