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*&ruby(れおぱるとあいん){【レオパルト1】}; [#e6373017]
ドイツ陸軍の第ニ世代[[主力戦車]]。レオパルドとも。~
Leopard 1/Leopard Eins.

>「レオパルド」と表記される場合もあるが、これはドイツ語の発音としては不正確。

旧西ドイツで1960年代に開発された第2世代[[主力戦車]]。~
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戦車王国ドイツの復活を告げた戦車であり、またその性能の良さから西ドイツ以外の[[NATO]]各国でも使用され、[[レオパルト2]]へと続くヨーロッパ標準戦車としての地位を築いた。~
アメリカからの供与品([[M41]]、[[M47]]、[[M48]]など)に依存していた状況からの脱却を目指し、敗戦後初のドイツ国産戦車として開発された。~
同時期のフランスでも次期[[主力戦車]]の開発を検討しており、「[[NATO>北大西洋条約機構]]標準戦車」という名目で共同開発が始められたが、この目論見は早々に破綻。~
部品単位での共通規格は採用されつつも、各国ごとの国情に合わせて独自の戦車開発が行われる事となった。~
開発の主体はポルシェ社、生産はクラウス=マッファイ社による(当時のポルシェの資産・設備では戦車生産工場を構築できなかったため)。~
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それまで西ドイツ国防軍では、アメリカから供与された[[M41]]、[[M47]]、[[M48]]などの戦車を装備していたが、これらの戦車の性能に不満を抱いた国防軍は、これに替わる国産30t級戦車の開発を決定。~
当時、隣国のフランスでも次期主力戦車の開発を検討しており、開発予算削減のため「NATO標準戦車」という名目で共同開発が始められたが、国ごとのニーズの違いなどから早々に破綻。独自に国産戦車を開発することになった。(この時フランスが開発したのが[[AMX-30]]である)~
ポルシェ社主体の開発であったが、同社が戦車生産が可能な大規模な工場施設を保有していなかったため、クラウス・マッフェイ社によって生産された。~
性能面では第2世代[[主力戦車]]の平均・標準に近い。~
[[装甲]]は均質圧延装甲の全溶接構造で構成されており、最大80mmで[[避弾径始]]を考慮した丸みを帯びた形になっている。~
ドイツ戦車は伝統的に重装甲に偏重する傾向にあったが、本車の[[装甲]]は特筆するほど重くも分厚くもない常識的な装甲厚に留まっている。~
[[複合装甲]]の登場以前の設計であるため、同時代の火砲に耐えうる装甲を付与するのはあまり現実的ではなかった。~
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本車の装甲は[[均質圧延装甲]]の全溶接構造で構成されており、最大80mmで[[避弾径始]]を考慮した丸みを帯びた形になっている。~
それまでのドイツ戦車らしからぬ常識的な(基本的にドイツ戦車は重装甲)装甲厚だが、これは火砲の発達により装甲防御よりも[[機動力]]を重視した結果である。~
主砲は西側第2世代MBTの標準砲であるイギリス・ロイヤル・オードナンス社製の51口径105mm[[施条砲]]L7A3を搭載。~
第二世代型戦車の主砲として世界的に使用されたベストセラーで、初速は[[APDS>装弾筒付徹甲弾]]で1,478m/s、発射速度毎分10発(最大)、1,000mでの初弾命中率は85%と優秀な砲であった。~
未だに使い続けているところも少なくなく、当時としても弾薬の共通化が図りやすかった。~
副武装として[[MG3]]7.62mm機関銃を2挺装備し、さらに砲塔左右に発煙弾発射機を各4基備えている。~
エンジンはMTU社のMB838CaM-500 V型10気筒他燃料液冷スーパーチャージド・[[ディーゼルエンジン]]を装備。~
総排気量は37400ccで出力830hpをたたき出し、路上最高速度65km/hが可能である。~
主砲はイギリス・ロイヤル・オードナンス社製の51口径105mm[[施条砲]]L7A3で、これは[[NATO>北大西洋条約機構]]各国の第2世代[[主力戦車]]で共通。~
当時の戦車砲としては世界的ベストセラーで、命中精度にも定評があったが、逆に言えば火力面で列国に比して特筆すべき性能差はない。~
[[仮想敵国]]ソヴィエト連邦に対して西ドイツ単独で抗戦する事は考えられておらず、[[NATO>北大西洋条約機構]]での連携が念頭に置かれている。~
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後継の[[レオパルト2]]の配備によりドイツ陸軍からは2003年に全車退役している。~
後継機種[[レオパルト2]]の配備により、ドイツ[[陸軍]]からは2003年に全車退役している。~
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関連:[[AMX-30]]

**スペックデータ [#cb24e569]
|乗員|4名|
|全長|9.54m|
|全高|2.76m|
|全幅|3.41m|
|戦闘重量|42.4t|
|[[エンジン]]|MTU MB838CaM-501水冷多燃料ディーゼルエンジン(出力830hp)|
|登坂力|60%|
|懸架方式|トーションバー方式|
|[[エンジン]]|MTU MB838CaM-500 4ストロークV型10気筒[[水冷>液冷エンジン]][[ディーゼル>ディーゼルエンジン]]|
|出力|830hp/2,000rpm|
|登坂力|60%|
|超堤高|1.15m|
|超壕幅|3.0m|
|最大速度|65km/h(路上)|
|[[航続距離]]|600km|
|[[装甲]]厚|70mm(車体前面)/35mm(車体側面)/60mm(砲塔前面)|
|兵装|L7A3 51口径105mmライフル砲×1門(弾数60発)&br;[[MG3 7.62mm機関銃>MG42]]×2挺(弾数5,000発)&br;4連装スモークグレネードランチャー×2基|
|[[行動距離>航続距離]]|600km|
|[[装甲]]厚&br;(鋳造[[砲塔]]初期型)|砲塔&br;主砲防盾:100mm&br;側面:60mm、後面:50mm&br;上面前部:52mm、上面後部:45mm&br;砲塔ハッチ周辺:20mm&br;&br;車体&br;前面上部:70mm、前面下部:50mm&br;側面上部:45mm、側面下部:35mm&br;後面上部:35mm、後面下部:30mm&br;車体上面:25mm&br;底面前部:25mm、底面中部:35mm、底面後部:16mm|
|兵装|L7A3 51口径105mmライフル砲×1門(弾数60発)&br;[[MG3 7.62mm機関銃>MG42]]×2挺(弾数5,000発)&br;4連装[[スモーク>スモーク弾]][[グレネードランチャー]]×2基|
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**主な改良型 [#d486ccc3]
**バリエーション(カッコ内は生産・改修数) [#d486ccc3]
本戦車は多数の改良型が存在し、またその素体の良さからファミリーも多い。それらを以下に示す。~
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-レオパルト1A1~
主砲にアメリカ製の砲塔安定システムを追加して命中率を高め、それまでのアクティブ赤外線暗視装置をスターライトスコープに換装し、サイドスカートを更新した強化タイプ。~
-レオパルト Oシリーズ(50両):~
各種運用試験用の先行量産型。~
1963年には[[AMX-30]]試作型との比較審査に用いられている。~
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-レオパルト:~
第一次生産車両の第1〜第4バッチ。~
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--第1バッチ(400両):~
初期生産型。1965年9月〜1966年7月にかけて生産された。~
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--第2バッチ(600両):~
[[砲塔]]後端底部に小さな樋が取り付けられ、[[砲塔]]リングを守る跳弾板が取り付けられた型。~
1966年7月〜1967年7月にかけて生産された。~
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--第3バッチ(484両):~
車体前後にフックが追加された型。1967年7月〜1968年8月にかけて生産された。~
なお、16両がベルギーに輸出されている。~
~
--第4バッチ(361両):~
後部側面冷却グリルの格子形状が変更された型。~
1968年8月〜1970年2月(外国向けは含まず)にかけて生産された。~
外国に多数輸出されておりベルギーが318両、オランダが468両、ノルウェイが78両、イタリアが40両をそれぞれ受領している。~
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-レオパルト1A1:~
第一次改修計画最初の型。~
主砲にアメリカのキャデラック・ゲージ社製[[砲塔]]安定システムを追加して命中率を高め、それまでのアクティブ[[赤外線]]暗視装置をスターライトスコープに換装し、サイドスカートを更新した。~
全重量は若干増加したが[[機動力]]に大きな変化は見られなかった。~
この型から制式名称が「レオパルト」から「レオパルト1」に変更された。~
~
-レオパルト1A2~
--レオパルト1A1A1:~
第二次改修計画を行った型。~
[[砲塔]]にブローム&フォス社製の増加[[装甲]]板(厚さ10〜20mm)を装着し、[[砲塔]]を[[中空装甲]]化した。~
1980年代にはPZB200 熱映像方式暗視装置が追加装備された。~
~
--レオパルト1A1A2:~
第三次改修計画を行った型。A1A1にPZB200 熱映像方式暗視装置を搭載した。~
~
--レオパルト1A1A3:~
A1A1にSEM80/90デジタル無線機を装備した型。~
~
--レオパルト1A1A4:~
1A1A2と1A1A3の両方の改良が施された型。~
~
-レオパルト1A2:~
第5バッチ生産車両(前期型)でレオパルトA1の防御力向上タイプ。~
前面から側面にかけて装甲が約20〜10�ほど追加されている。また、そのほとんどが第6機甲擲弾兵師団に配備されている。~
レオパルト1A1と同等の改良を最初から施しているほか、砲身にサーマルジャケットを追加、砲塔装甲が厚化されている。~
そのほとんどが第6装甲擲弾兵師団に配備されている。~
~
-レオパルト1A3~
第5バッチ生産車両(後期型)でレオパルト1A2に新設計の砲塔を搭載したタイプ。~
この砲塔は従来の常識を打ち破り、現在の[[複合装甲]]に繋がる[[中空装甲]]([[成形炸薬弾]]防御に有効)を採用し、平面装甲を組み合わせた鋭角なデザインを採っている。~
--レオパルト1A2A1:~
レオパルト1A1A2と同様の増加装甲とPZB200の装着改修を行った小改良型。~
~
--レオパルト1A2A2:~
SEM80/90デジタル通信機を装備した型。~
~
--レオパルト1A2A3:~
A2A1にSEM80/90デジタル通信機とPZB200パッシブ暗視装置を搭載した型。~
~
-レオパルト1A3:~
第5バッチ生産車両(後期型)でレオパルト1A2に新設計の溶接[[砲塔]]を搭載したタイプ。~
この[[砲塔]]は従来の常識を打ち破り、現在の[[複合装甲]]に繋がる[[中空装甲]](プラスチック製詰め物で2枚の間隔をあけられた板金からなる、[[成形炸薬弾]]防御に有効)を採用し、平面装甲を組み合わせた鋭角なデザインを採っている。~
これにより砲塔内部面積が1.5m³増加し、防御力が50%向上したとされる。~
また、ペリスコープ2基が固定式から旋回式へと変った。~
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-レオパルト1A4~
第6バッチ生産車両で新型[[FCS>火器管制装置]]を搭載した能力向上型。~
--レオパルト1A3A1:~
PZB200暗視装置を搭載した小改良型。~
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--レオパルト1A3A2:~
SEM80/90デジタル通信機を装備した型。~
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--レオパルト1A3A3:~
A3A1にSEM80/90デジタル通信機とPZB200パッシブ暗視装置を搭載した型。~
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-レオパルト1A4:~
第6バッチ生産車両でデジタル[[FCS>火器管制装置]]を搭載した能力向上型。~
弾道コンピューターが新たに追加され、命中率向上が図られている。~
しかし、新型FCSは多くのスペースを必要とした為携行主砲弾の数が5発減って55発となった。~
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-レオパルト1A5~
夜間戦闘能力、発射速度/命中精度の向上、行進間射撃能力などが強化されたレオパルト1の最終型。~
-レオパルト1A5:~
第四次改修計画型で夜間戦闘能力、発射速度/命中精度の向上、行進間射撃能力などが強化されたレオパルト1の最終型。~
レーザー測距装置と熱線暗視装置を組み込んだ新型FCS「EMS18」を搭載し、新たに[[APFSDS>装弾筒付翼安定式徹甲弾]]を搭載して装甲貫通能力を高めている。~
また、[[レオパルト2]]と同じ120mm[[滑腔砲]]を搭載可能にしたが、ほかの改修に比べてコストが高く実装されることはなかった。~
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-レオパルト1A6~
主砲を120mm滑腔砲Rh120に換装したモデル。試作のみ。~
--レオパルト1A5A1:~
SEM80/90デジタル通信機を装備した型。~
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-レオパルト1A6:~
[[レオパルト2]]の技術をフィードバックして主砲を120mm滑腔砲Rh120に換装し、[[複合装甲]]を採用した試作車両。~
1A5から改造されたVT2と、1A1A1から改造されたVT5の2両が作られ、1987年まで試験に用いられた。~
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-レオパルトC1/C1A1:~
レオパルト1A3(後期型)をカナダ軍が採用した際の名称。溶接砲塔を装備。~
C1A1はC1にドイツのIBD社が開発したMEXAS(モジュラー拡張装甲システム)を追加した型。~
C1は後に砲塔を換装するなどしてC2への改修が行われた。~
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-レオパルトC2/C2A1:~
C1の車体にドイツから購入したレオパルト1A5の鋳造砲塔を組み合わせた型。~
砲身は程度が良かったC1の物を使用している。~
C2A1はC2にMEXASを追加した型。~
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**レオパルト1ファミリー [#u0585615]
-[[ゲパルト]](Flakpanzer Gepard((ドイツ語でチーターの意。))):~
レオパルト1の車体を流用し、捜索[[レーダー]]と追尾レーダー連動のスイスのエリコン社製[[KDA 35mm機関砲>L-90]]を連装で装備した自走式対空砲(対空戦車)。~
同タイプの対空自走砲の先駆け的存在((ちなみに、ゲパルトのレーダー配置などのデザインには特許があったため、日本の[[87式自走高射機関砲]]はこれに抵触しないようにデザインされた。違いとしては索敵レーダーと追尾レーダーの配置が異なる。))。~
オランダ・ベルギーにも輸出された。~
~
-[[ゲパルト]]((Gepard:ドイツ語でチーターの意。))対空自走砲~
レオパルト1の車体を流用し、捜索[[レーダー]]と追尾レーダー連動のスイスのエリコン社製KDA 35mm機関砲を連装で装備した対空自走砲。同タイプの対空自走砲の先駆け的存在。((ちなみに、ゲパルトのレーダー配置などのデザインには特許があり、日本の[[87式自走高射機関砲]]はこれに抵触しないようにデザインされた。違いとしては索敵レーダーと追尾レーダーの配置が異なる。))~
オランダ・ベルギーにも輸出された。~

-&ruby(ベルゲパンツァー){Bergepanzer}; 2~
-ベルゲパンツァー2(Bergepanzer 2):~
1966年から調達された戦車回収車。~
車体後部にMBTのパワーパックを搭載して、交換作業を行なうことができるほか、20tクレーンと70tウィンチを装備している。~
改良型として、1978年にゲパルトの重い砲塔を吊り上げ可能なA2が調達された。~
改良型として、1978年にゲパルトの重い[[砲塔]]を吊り上げ可能なA2が調達された。~
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-&ruby(ブリュッケンレーゲパンツァー){Brückenlegepanzer};・&ruby(ビーバー){Biber};~
カレンチヴァー式の架橋戦車。50tの車両を渡河させることができるが、非常時には60tの車両まで渡河可能。~
-ブリュッケンレーゲパンツァー・ビーバー(Brückenlegepanzer Biber):~
カレンチヴァー式の架橋戦車。~
50tの車両を渡河させることができるが、非常時には60tの車両まで渡河可能。~
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-&ruby(ピオニアーパンツァー){Pionierpanzer 2}; &ruby(ダクス){Dachs};~
工兵車両型。ダクスとはアナグマの意。~
9.2mのショベルアームを持ち、射撃陣地の設営や、障害物の撤去に使用する。~
-ピオニールパンツァー2・ダクス(Pionierpanzer 2 Dachs((アナグマの意。))):~
[[工兵]]車両型。~
9.2mのショベルアームを持ち、射撃陣地の設営や、障害物の撤去に使用する。~
カニング・タワーを設置すれば4mまでの潜水渡河が可能で、かつその状態でドーザー作業を行なえる。~
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-レオパルト・[[ローラント]]対空ミサイルシステム~
レオパルト1の車台にローラント対空ミサイルシステムを搭載した自走対空ミサイル車両。~
-レオパルト・ローラント地対空ミサイルシステム:~
レオパルト1の車台に[[「ローラント」>ローラント]][[地対空ミサイル]]システムを搭載した車両。~
試作・提案のみ。~
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-ヒッポBRV(Hippo Beach Recovery Vehicle):~
「BARV((Beach Armoured Recovery Vehicle(海岸用装甲回収車)の略。))」と呼ばれる特殊回収車型。~
イギリス海兵隊にて運用。~
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-ブルドッグBRV(Bulldog Beach Recovery Vehicle):~
ヒッポ BRVに準じた外観・性能を持つ特殊回収車型。~
オランダ[[海兵隊]]にて運用。~
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