*&ruby(れーざー){【レーザー】}; [#q2bf773e]
''L''ight ''A''mplification by ''S''timulated ''E''mission of ''R''adiation (誘導放出による光増幅)~
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波長と位相を揃えて放出された、直進する単色の光。「コヒーレント光」とも。~
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自然な状態での光は様々な波長・位相がバラバラに集まったものである。~
よって、自然光は反射などで拡散し、様々な色、様々な方向に広がっていく。~
光が持つこの性質は(乱雑に表現すれば)特定の波長・方向からしか放出されない鏡の中に閉じ込めれば封殺できる。~
そうして放出された、単色・指向性で波長が一定の光を「レーザー光」「コヒーレント光」と呼ぶ。~

>実際の所、光は物体に当たって反射する度にエネルギーを減衰させていく。~
よって、レーザーを安定的に放出するためには電気的・化学的な増幅処理が不可欠である。

レーザー光は他からの妨害や障害を受けにくい反面、放出そのものの制御は精密に行える((現在までの所、レーザーはナノ秒・フェムト秒単位で点灯・消灯を管理できる唯一の光源である。))。~
そうした性質のため、通信・観測をはじめとする用途に広く利用されており、レーザー技術は現代工学における基幹技術の一つとなっている。~
一例を挙げれば以下のような用途に利用されている。

-測量機器
-非破壊検査
-顕微鏡
-[[核融合炉>原子炉]]
-CD・DVD・BDなどの光学記録ディスク
-光ファイバー通信の信号伝送
-スキャナー・ファクシミリ・コピー機・バーコードリーダーなどの画像読み取り
-一部の印刷機(レーザープリンター)
-溶接・切断・研磨((医療用として、生物的損傷を最小限に留めつつ人体を切断・研磨する用途にも用いられる。))
-射撃競技・訓練用具または遊具([[ビームライフル(ピストル)>ビームライフル]])

**兵器としての利用 [#x6d837ef]
レーザー光は光量が一点に集中する性質上、照射に伴う熱も一点に集中する。~
低出力のレーザーでも生体組織の焼灼が可能で、高出力では溶接も可能なほどの熱量に達する。~

>基本的に無害とされるレーザーポインター((壁や障害物などの一点だけをレーザーの光で照らして位置を指示する器具。&BR;  レーザーの直進性と視認性の良さを利用したもので、銃の照準器としても使われる。))でさえ、人間の眼球組織を破壊し得る。~
なお、1995年に採択された「特定通常兵器使用禁止制限条約」及び1996年のジュネーブ協定により、人の視力を奪うレーザー兵器の使用は禁止されている。

こうした特性を直接的に兵器転用し、レーザー光の熱で目標を破壊する「レーザーガン」も開発が行われている。~
アメリカでは実際に[[弾道ミサイル]]迎撃用の[[MIRACL]]や[[AL-1]]、戦域防空用の[[THEL]]といったシステムが作られている。~
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しかし、レーザー発振装置は[[装薬]]に比して火力効率が悪く、実用レベルまで装置を小型化するめどが立っていない(([[航空機]]に搭載するシステムである[[AL-1]]でさえ、発振装置は超大型[[貨物機]]・[[B747-400F>B747F]]の貨物室をまるまる占拠してしまうほどの大面積を要する。))。~
また、常に直進するレーザー光の性質上、長射程火砲に必須の要求である[[間接砲撃]]を実施できない(([[人工衛星]]にレーザー砲を搭載すれば地球上のどこでも[[狙撃]]できる、という提案もある。&BR;  しかしこれも装置の小型化ができない関係上、[[ペイロード]]などの問題から実用化に至っていない。))。~
銃弾・砲弾と比べて大気との衝突によるエネルギー減衰が多大であるため、悪天候による影響を如実に受けてしまうと言う問題もある。~
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そのため、いまのところ、レーザー兵器が火砲や[[ミサイル]]に代わる物理的破壊装置として使用される目処は立っていない。~
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関連:[[セミアクティブレーザー誘導]] [[AL-1]] [[対戦車ミサイル]] [[誘導爆弾]]

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