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*&ruby(れーざー){【レーザー】};
Laser : Light Amplification by stimulated Emission of Radiation~
(誘導放出による光増幅)の頭文字をとったものである。~
レーザー光の主な特徴は~
単色性:光のスペクトル幅の波長に対する相対比が非常に小さい(He-Ne で≒10^(-6))~
指向性:自然光に比べ、遥かに広がらない(He-Ne で広がり角≒10^(-4)rad)~
コヒーレント性:等しい位相を持った同一波長の光の放出,すなわち、強い光を得ることが出来る~
*&ruby(れーざー){【レーザー】}; [#q2bf773e]
LASER , ''L''ight ''A''mplification by ''S''timulated ''E''mission of ''R''adiation (誘導放出による光増幅)~
~
波長と位相を揃えて放出された、直進する単色の光。「コヒーレント光」とも。~
~
自然な状態での光は様々な波長・位相がバラバラに集まったものである。~
よって、自然光は反射などで拡散し、様々な色、様々な方向に広がっていく。~
光が持つこの性質は(乱雑に表現すれば)特定の波長・方向からしか放出されない鏡の中に閉じ込めれば封殺できる。~
そうして放出された、単色・指向性で波長が一定の光を「レーザー光」「コヒーレント光」と呼ぶ。~

原理(簡単に)~
ある条件においては、原子が外部からのエネルギーによって、コヒーレントな光を発生しそれが連鎖的に起こることがある。これによりコヒーレントな光が合わさりさらに強いコヒーレントな光を得ることが出来る。これを誘導放射と呼ぶ。もちろん、効率(入力エネルギーに対する出力光エネルギー)は10%に満たない。 ~
さらに、レーザーとしての充分な強度の光を得るために、平行平面鏡の間に光を閉じ込めて往復させ(共振器)、増幅する。これも、コヒーレントだからこそ出来ることである。これを「レーザー発振」と呼ぶ。~
>実際の所、光は物体に当たって反射する度にエネルギーを減衰させていく。~
よって、レーザーを安定的に放出するためには電気的・化学的な増幅処理が不可欠である。

歴史~
まずメーザー(Maser:Microwave)の研究がなされ、それに続いて更に波長が短いLaserの発振が1960年メイマン(米)によってルビーレーザー(固体レーザー)としてもたらされた。さらに、He-Neなどの気体レーザが開発された。
そして、人類に最も貢献したと思われるのが、半導体レーザー(1970年)である。光エレクトロニクスという一大分野を作り出した。光通信や光学ディスクの光源としてお馴染みである。
レーザー光は他からの妨害や障害を受けにくい反面、放出そのものの制御は精密に行える。~
現在までの所、レーザーはナノ秒・フェムト秒単位で点灯・消灯を管理できる唯一の光源である。~
そうした性質のため、通信・観測をはじめとする用途に広く利用されており、レーザー技術は現代工学における基幹技術の一つとなっている。~
一例を挙げれば以下のような用途に利用されている。

現在存在する主なレーザーは材料から大きく分けて~
固体レーザー:主に光励起 可視〜近赤外領域 波長可変なレーザ有~
[[AL-1]]の目標追跡・誘導用レーザーは、「LD(LaserDiode:半導体レーザー)光励起によるYb:YAGレーザー」であり、波長可変な固体レーザー。(Yb:YAGレーザーは赤外光(1.030μm付近)かつ比較的高効率大出力で一般的なレーザー)。~
-測量機器
-非破壊検査
-顕微鏡
-[[核融合炉>原子炉]]
-光学記録媒体(CD・DVD・BDなど)に記録されたデータの読み取り
-光ファイバー通信の信号伝送
-画像読み取り(スキャナー・ファクシミリ・コピー機・バーコードリーダーなど)
-印刷(レーザープリンター・コピー機)
-溶接・切断・研磨
-医療用(人体の切断・研磨)
-射撃競技・訓練用具または遊具([[ビームライフル(ピストル)>ビームライフル]])

気体レーザー:主に放電励起 紫外〜遠赤外 波長が豊富だがレーザー利得が小さい~
[[AL-1]]の測距用レーザーは、CO&size(10){2};レーザー。(CO&size(10){2};レーザーは遠赤外光(≒10.6μm)かつ高効率大出力で、He-Ne程ではないが、一般的なレーザー)。[[AL-1]]の迎撃レーザーである酸素沃素化学レーザもこの範疇に入る。~
**兵器としての利用 [#x6d837ef]
レーザー光は光量が一点に集中する性質上、照射に伴う熱も一点に集中する。~
低出力のレーザーでも生体組織の焼灼が可能で、高出力では溶接も可能なほどの熱量に達する。~

液体(色素)レーザー:光励起 波長可変 紫外〜近赤外 
気体レーザーに比べて優れている点は、溶媒を変える(この作業は煩雑ではあるが)ことにより波長を容易に変えられる特性である。主に医療用に使われている。
>基本的に無害とされる照明・照準用レーザーポインターでさえ、人間の眼球に直撃すれば失明する危険性がある。~
なお、1995年に採択された「特定通常兵器使用禁止制限条約」及び1996年のジュネーブ協定により、人の視力を奪うレーザー兵器の使用は禁止されている。

半導体レーザー:他のレーザーに比べ 小型、高効率、低電圧、低消費電力、長寿命、低出力~
[一般的]III-V族化合物半導体0.6〜1.6μm [特定分野]PbSSe系半導体3〜30μm(波長可変) さらに非線形光学結晶を使って波長を変換できる。~
III-V族ではGaAlAs(YAGレーザー励起・レーザープリンタ等)やInGaAsP(光ディスク・ファイバー等),GaN(研究中)がある。発光ダイオードによく似ている。~
こうした特性を直接的に[[兵器]]に転用し、レーザー光の熱で目標を破壊する「レーザーガン」も開発が行われている。~
アメリカでは実際に[[弾道ミサイル]]迎撃用の[[MIRACL]]や[[AL-1]]、戦域防空用のTHELといったシステムが作られている。~
~
しかし、レーザー発振装置は[[装薬]]に比して火力効率が悪く、実用レベルまで装置を小型化するめどが立っていない。

軍事用途の観点からは、光通信・距離測定・レーザーレーダー・ミサイル誘導・破壊[殺人]光線 などとして広く利用されている。~
>電力を光に変換するという原理上の制約が、工学における難問となっている。~
大電力を長期備蓄する方法がない上に、大出力の発電・配電を行うと膨大な放熱が発生するからだ。

また、常に直進するレーザー光の性質上、長射程火砲に必須の要求である[[間接砲撃]]を実施できない。~
このため、現状では[[航空機]]に搭載するか、[[対空砲>AAA]]として使用する事しかできない。~
~
加えて、熱の照射によって標的を破壊する原理上、途上の大気との衝突によって急速に威力が減じる。~
特に大気中の水が放熱を吸収するため、雨天では事実上使い物にならないほどに[[有効射程]]が減衰する。

>なお、宇宙空間でもレーザーの破壊力は距離とともに減衰する。~
技術的に完全なコヒーレントを実現できないため、距離が開くとともにレーザー光が散乱するのだ。~
この散乱は大気の影響に比べれば誤差程度のものだが、天文単位の距離では重大な問題となる。

総じて、レーザー[[兵器]]が[[火砲>ガン]]や[[ミサイル]]に代わる物理的破壊装置として配備される目処は立っていない。~
~
関連:[[セミアクティブレーザー誘導]] [[AL-1]] [[対戦車ミサイル]] [[誘導爆弾]]


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