【レーザー】(れーざー)

Laser : Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation (誘導放出による光増幅)を意味する略語。

自然な状態での光は様々な波長も位相がバラバラに集まったものであり、拡散すると様々な色、様々な方向に勝手に広がっていく。
光が持つこの性質は(乱雑に表現すれば)電気的に発生させた光を化学的溶媒を使って増幅し、鏡で数百回くらい反射させる誘導処理を経てから放出すれば封殺する事ができる。
そうして放出された「波長と位相が揃った単色で直進する光」をコヒーレント光、またはレーザー光と呼ぶ。

レーザー技術は現代工学における基幹技術の一つである。
他からの妨害や障害を受けにくく、情報伝達の精度を高められるため通信や観測機器に、探知や視認が極めて困難であるためレーダーの代替として利用されている。
身近な所ではCD・DVDプレイヤー、パソコンのプリンタ・スキャナ・マウスやコピー機、バーコードリーダーなどの電子機器にも広く利用されている。

照射による熱も一点に集中するため、低出力のレーザーでさえ医療用メスの代替にできるほど危険であり、高出力のレーザーは溶接にも利用される。

基本的に無害なレーザーポインター*1でも、眼球に直接照射されると視覚障害や失明の危険があると言われている。

こうした特性を直接的に兵器転用し、レーザー光の熱エネルギーで目標を破壊する「レーザーガン」も開発が行われており、アメリカでは実際に弾道ミサイル迎撃用のMIRACLAL-1、戦域防空用のTHEL(イスラエルと共同開発)といったシステムが作られている。
しかし、レーザー発振装置がどうしても大掛かりになってしまう*2ことや、射手の目視外射程にある目標への攻撃(間接砲撃)ができなかったり天候の影響を如実に受けてしまうことなど、解決の難しい問題が山積しており、往年のサイエンス・フィクションのように、戦場でレーザー兵器*3が火砲やミサイルに代わって人員や施設・装備の物理的破壊に使用されるようになるのはまだまだ先のことと見られている。

なお、1995年に採択された「特定通常兵器使用禁止制限条約」及び1996年のジュネーブ協定により、人の視力を奪うためにレーザー兵器を使用すること禁止されている。

関連:セミアクティブレーザー誘導 AL-1 対戦車ミサイル 誘導爆弾


*1 壁や障害物などの一点だけをレーザーの光で照らして位置を指示する器具。レーザーの直進性と視認性の良さを利用したもので、銃の照準器としても使われる。
*2 装薬を用いる旧来の銃火器ミサイルと同様の破壊力をレーザーで発揮するには、かなり大出力のレーザーを発振することが必要とされる。
*3 単に「光線を出す」だけのものは、遊戯用(玩具)あるいは競技用の「ビームライフル」として実用化されている。

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