*&ruby(りふとじぇっと){【リフトジェット】}; [#z1a16ba8]
Lift Jet.~
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[[VTOL]]機に搭載された、[[重力]]に打ち勝ち機体を持ち上げる為だけに使用する[[ジェットエンジン]]。~
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[[VTOL]]の研究が盛んであった1960年代に、特に欧州では非常に多くのリフトジェット搭載VTOL研究機が設計された。~
代表的な機体には以下のようなものがある。~
-フランス
--[[バルザックV>ミラージュ3]]([[ミラージュIII>ミラージュ3]]が原型)
--[[ミラージュIII V>ミラージュ3]](同上)
-ソ連
--[[MiG-21]]/[[MiG-23]]/[[Su-24]]改造の研究機
--[[Yak-36]]
--[[Yak-38]]
--[[エクラノプラン]]([[表面効果翼機]])

しかし、これらの機には全てに共通した原理上の大きな欠点が存在した。

-重い機を持ち上げるためには複数のリフトジェットを搭載する必要が有り、調達コストが増大した。~
-複数のリフトジェットの搭載は稼働率の低下、維持コストの増大に繋がった。~
-重いリフトジェットは通常飛行時には何の役にも立たない死荷重となり、[[ペイロード]]に悪影響を与えた。~
同時に燃料搭載量も少量で、[[作戦行動範囲>戦闘行動半径]]は狭まった。

リフトジェット型[[VTOL]]機の多くはこの問題点のために頓挫し、唯一実用化にこぎつけたのは[[Yak-38]]のみであった。~
しかし、その[[Yak-38]]でさえ、これらの弱点を抱えたまま就役することになり、能力不足のため殆ど実用できるレベルにはなかった。~
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後に、これらの能力不足を解消するために新規に[[Yak-141]]が設計された。~
同機は[[Yak-38]]をはるかに上回る性能を発揮したが、結局中止された。~
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その結果、20世紀中に、世界で唯一運用可能なレベルに達したVTOL機は、皮肉にも非主流であった推力偏向方式を用いた[[ペガサスエンジン]]を搭載した英国の[[ハリアー]]のみであった。~
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関連:[[リフトファン]] [[転換式航空機]]

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