*&ruby(らんちぇすたーのほうそく){【ランチェスターの法則】}; [#ic444a3d]
Lanchester's laws

イギリスのエンジニアであるフレデリック・ウィリアム・ランチェスターが1914年に発表した数理モデル。~
[[第一次世界大戦]]の統計的分析により、2つの基本法則によって戦闘・競争の結果を予測する。

様々な議論の余地はあるものの、現代でも[[戦術]]や企業経営の分析手法として広く用いられている。

**第一法則 [#p39f7d08]
第一法則は、一対一の決闘のような単純な戦闘状況を想定する。

-勢力A・Bが交戦しており、双方とも攻撃して相手方の人員を損耗させる事ができる
-勢力A・Bの双方とも、攻撃力を『人員数』と『装備の質』に依存する
-勢力A・Bの双方とも、相手の動向について情報を持たず、攻撃の成果を事前に予測できない
-勢力A・Bの双方とも、人員・装備の全てを交戦に投入し、遊兵や後詰が生じていない

以上の条件を満たしている場合、以下の一次方程式を適用できる。

 A0 − At = E(B0 − Bt)

|''A0''|勢力Aの人員数(初期時点)|
|''At''|勢力Aの人員数(時間tが経過した時点)|
|''B0''|勢力Bの人員数(初期時点)|
|''Bt''|勢力Bの人員数(時間tが経過した時点)|
|''E ''|勢力A・B間の[[キルレシオ]](勢力Bの装備の質÷勢力Aの装備の質)|

**第二法則 [#a39e5cdf]
第二法則は、緊密に連携した組織による集団戦闘を想定する。

-勢力A・Bが交戦しており、双方とも攻撃して相手方の人員を損耗させる事ができる
-勢力A・Bの双方とも、攻撃力を『人員数』と『装備の質』に依存する
-勢力A・Bの双方とも、相手の動向と攻撃の成果について常に正確な情報を持つ
-勢力A・Bの双方とも、攻撃を受けて生じる人員の損耗は均等に分散される(局所的な集中攻撃を受けない)

以上の条件を満たしている場合、以下の二次方程式を適用できる。

 (A0 × A0) − (At × At) = E{(B0 × B0) − (Bt × Bt)}

|''A0''|勢力Aの人員数(初期時点)|
|''At''|勢力Aの人員数(時間tが経過した時点)|
|''B0''|勢力Bの人員数(初期時点)|
|''Bt''|勢力Bの人員数(時間tが経過した時点)|
|''E ''|勢力A・B間の[[キルレシオ]](勢力Bの装備の質÷勢力Aの装備の質)|

**類推と実践 [#df19493c]
以上2つの法則は、以下のような[[戦術]]上の判断を誘引する。

-相手方よりも多くの人員を投入できれば間違いなく有利である。
-相手方よりも質の良い装備を投入できれば間違いなく有利である。
-自勢力が相手方よりも強大である場合、第二法則の適用できる状況の方が有利である。
--即ち、強者にとっての最善は状況の全体像を把握し、装備の質を平均化し、局所的な集中攻撃を避ける事である。
-自勢力が相手方よりも弱小である場合、第一法則の適用できる状況の方が有利である。
--即ち、弱者にとっての最善は敵を分断し、相手の状況把握を阻害して[[奇襲]]を仕掛け、局所的な集中攻撃を繰り返す事である。

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