【モシン・ナガン】(もしん・ながん)

Мосин-Наган

19世紀末期のロシア帝国時代に開発されたボルトアクション式小銃のシリーズ。
開発者のセルゲイ=モシン大佐とナガン兄弟*1にちなみ、モシン・ナガンライフルと総称されることが多い。

長期にわたって大量に生産され、海外への供与や密輸などの形で世界中に散らばった*2
第二次世界大戦後は、AK-47に主力小銃の座を譲ったものの、高威力と命中精度を生かして狙撃銃として使われ、1960年代にドラグノフが後継となるまで第一線で使用され続けた*3
非正規戦ゲリラテロリストなどに使用された*4のはもちろん、民間レベルでも非常に多く流通していて、アメリカの市場では安値で取引されている。

スペックデータ(M1891/30)

口径7.62mm
全長1,232mm(M91/30)/1,013mm(カービンモデル)
銃身長N/A
重量4kg(M91/30)/3.4kg(M38)/4.1kg(M44)
作動方式ボルトアクション
使用弾薬R7.62mm×54R(ラシアン)/7.62mm×53R(フィンランド)
装弾数5発(箱型弾倉・クリップ)
銃口初速850m/s(ライフル)/800m/s(カービン)


バリエーション

  • ソ連/ロシア製
    • M1891:
      ロシア帝国時代から使われているモデル。
      第二次世界大戦時もほとんどが現役で使用された。

      • Gew252(r):
        ドイツ軍が鹵獲したM1891に付けた呼称。

    • M1891/10:
      M1891の改良型。
      照準器と強化ボルト、トリガーガード後方にあるフィンガーレストを除去し、新型バレルバンド交換を容易にするため、スロットタイプ・スリングマウントの導入した。

    • ドラグーン:
      M1891の騎兵向けモデルで10cm短い。着剣可能。

      • コサック ライフル・ドラグーン:
        上記モデルと同じであるが、銃剣なしで使用する。

    • M1907:
      カービンモデル。銃剣装着不可。
      前床・後床の側面にスリングを通す穴があり、銃身全体を木部で覆っている。

    • M1891/30:
      M1910を基に機関部の簡略やコストダウンが図られた、M1891の近代化改修型。

      • Gew254(r):
        ドイツ軍が鹵獲した小銃型に付けた呼称。

      • 7.62mm ZielGew256(r):
        ドイツ軍が鹵獲した狙撃銃型に付けた呼称。

    • M1910:
      M1891のカービンモデル、着剣装置廃止。

    • M1938:
      M1891/30のカービンモデル、着剣装置廃止。

      • Kar453(r):
        ドイツ軍が鹵獲したM1938に付けた呼称。

    • M1891/59:
      再生産モデル。M1959とも。

    • M1944:
      M1938に折りたたみ式スパイク銃剣を装備した改良型。

      • Kar457(r):
        ドイツ軍が鹵獲したM1944に付けた呼称。

    • KO-91/30:
      モロト社が製造するM1891/30のレプリカ。

    • KO-91/30M:
      モロト社が製造するM1891/59のレプリカ。

    • OTs-48:
      KBPの子会社のTsKIB SOOがスポーツ、狩猟用として生産した型。

      • OTs-48K:
        OTs-48のブルパップ化モデル。

  • フィンランド製
    • M/91:
      フィンランド生産型。

      • M/91rv:
        M1891 ドラグーン・ライフルのフィンランド生産型。

    • M/24:
      国内設計モデル。7.62mmx53R弾を使用する。
      フィンランド白衛軍に配備された。

    • M/27:
      初めての独自設計モデル。

      • M/27rv:
        M27の騎兵隊向けカービンモデル。

    • M/28:
      フィンランド自衛軍向けの小銃。シモ・ヘイヘ?、スロ・コルッカが使用した。

      • M/28-30:
        アップグレードモデル。

    • M91/35:
      M27の代替モデル。M28 M28/30などと共に置き換えられた。

    • M39:
      軍の提案により若干変更点があるM28/30を元に作られたモデル。
      初期生産型はモシン・ナガン特有である直線型グリップを採用しているが、以後のモデルは握り込み型であるピストルグリップを採用している。

    • M56:
      7.62x39弾を使用するモデル。実験用に開発。

    • M39/60:
      M39に暗視光学装置を搭載したモデル。

    • M28/57:
      バイアスロン向けモデル。7.62x54R弾を使用する。
    • M28/76:
      選抜射手/競技射撃向けモデル。フィンランド陸軍で改造・製作された。
    • Tkrv85:
      選抜射手/狙撃手向けモデル。

  • ポーランド製
    • wz.1891:
      マウザーシステムを取り入れたポーランド生産型。

    • Karabinek wz.91:
      騎兵用モデル。

    • Karabinek wz.91/98/23:
      略称はwz.91/98/23。
      7.92x57mmモーゼル弾を使用し、モーゼルGew98のストリップ式クリップがそのまま使用できる。

    • Karabinek wz.91/98/25:
      wz.91/98/23の改良型。略称はwz.91/98/25。
      装着できる銃剣がGew98のSeitengewehr 98になっている。

    • Karabinek wz.91/98/26:
      wz.91/98/25の改良型。略称はwz.91/98/26。

    • wz.1891/30:
      wz.1891の近代改修型。

  • アメリカ製
    • U.S.ライフル 7.62mm モデル1916:
      ロシア国内産業の疲弊で、自国で武器を生産できずにアメリカに製造を委任した時期に生産されたもの。

  • 中国製
    • 53式歩槍:
      M1944を中国でライセンス生産したモデル。
      ストックに「チュー木」を使用している。


*1 エミール=ナガンとレオン=ナガン。
*2 ロシア兵器のこういうところは、今も昔も変わらないようだ。
*3 ただし、現代の山岳戦に直面した際、SVDでは射程と命中精度の問題から敵の排除に手間取り、一部のスペツナズが本銃を倉庫から引っ張りだす事態となった。軍上層部はすでに骨董品と認識していたためこれはまずいと判断。射程が長く、命中精度のいい狙撃銃を求め、それに応じる形でイズマッシュが開発したのがSV-98?である。
*4 現在でもアフガンのゲリラが使用しておりその頑強さがうかがえる。というか、基本的にロシア製の銃は耐久性が高い事に定評がある。

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