【ミニットマン】(みにっとまん)

minute man.

1.民兵組織

18世紀末、アメリカ独立戦争でクーデター側に与した民兵
「招集されたらライフルを持って1分で駆けつける男(minute man)」と謂われた。

幼少から狩猟に親しみ、銃の扱いに熟練していた移民出身者が大半を占めていた。
この経歴のため狙撃ゲリラ戦に優れた適性を見せ、独立戦争において大きな貢献をなした。
そのことから、独立戦争における英雄達の異名として、後世まで合衆国市民に広く語り継がれる事となった。

2.極右団体

1960年代に創設されたアメリカの極右団体。
「ミニットマン」を名乗るのは過去の英雄に肖っての事で、特に歴史的経緯はない。

「国境警備隊の補助」と称して、メキシコとの国境で巡回を行っている。
不法入国者に対する殺人などの容疑で当局の監視下に置かれており、公的に認められてはいない。

いわゆる人種差別的団体ではなく、基本的には不法越境者のみを問題とする。
「正式な手続きに則っての入国は問題ない」としており、移民出身の構成員もいる。

3.弾道ミサイル

Boeing LGM-30(B-80*1) Minuteman.

アメリカ空軍が装備・運用する大陸間弾道ミサイル
開発・生産はボーイング社が受け持った。

1960年代に就役して以後、長らくアメリカ戦略航空軍団(SAC)の主力弾道ミサイルとして全米各地に分散配備された。
現在でもSACから再編されたアメリカ空軍地球規模攻撃軍団(GSC)隷下の第20空軍に配備され、アメリカの核抑止力の一翼を担っている。

1950年代の古い設計のため、後継機「LGM-118A『ピースキーパー』」の就役に伴って1990年代に退役する予定であった。
しかし、冷戦終結や核軍縮に伴って「ピースキーパー」の方が先に退役したため、2020年頃まで運用され続ける予定となっている。

スペックデータ
タイプLGM-30A/B
「ミニットマンI」
LGM-30F
「ミニットマンII」
LGM-30G
「ミニットマンIII」
全長16.45m(LGM-30A)
17m(LGM-30B)
18.2m
直径1.88m1.8m1.68m(第1段)
1.32m(2段目・3段目)
発射重量29,500kg31,746kg35,300kg
射程10,000km12,500km13,000km(Mk12 RV)
11,300km (Mk12A RV)
命中精度150m CEP200m CEP280m(Mk12 RV)
120m (Mk12A RV)CEP
推進方式3段式固体推進ロケットモーター
エンジンチオコール TU-122(M-55)(1段目)
エアロジェット・ジェネラル SR-19-AJ-1(2段目)
エアロジェット/チオコール*2 SR-73AJ-1(3段目)
ペイロードMk.5
または
Mk.11再突入体×1基
Mk.11再突入体×1基Mk.12/12A
または
Mk.21再突入体×3基
弾頭いずれも核弾頭を搭載
W56(1963年〜1993年)
W59(1962年〜1969年)
W56(1963年〜1993年)W62(1970年〜)
W78(1979年〜)
W87(2006年〜)
誘導方式慣性誘導
発射プラットフォーム地下ミサイルサイロ


【バリエーション】

  • LGM-30A/B「ミニットマンI」:
    初期型。

  • LGM-30F「ミニットマンII」:
    エンジンや誘導装置を改良した型。

  • LGM-30G「ミニットマンIII」:
    最終型。
    弾頭がMIRV方式になった*3

  • ミノタウロスI?
    オービタル・サイエンシズ社が生産するミノタウロスシリーズの一つで、ミニットマンIIをベースにした小型衛星打ち上げ用使い捨てロケット。
    退役したミニットマンの1段目(M55A1)と2段目(SR19)を利用し、3段目、4段目にペガサスロケット?のOrion 50XL、Orion 38を使用している。

*1 就役当初の型式。当時はミサイルという兵器の分類がまだ固まっていなかったため、暫定的に「無人爆撃機」という名目にされていた。
*2 現:ATKランチ・システムズ・グループ。
*3 現在はSTART(戦略兵器削減条約)により、弾体1つに搭載できる弾頭が1個に制限されたため、実質上単弾頭で運用されている。

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