【ミステル】(みすてる)

第二次世界大戦後期、ドイツ空軍が開発した無人爆撃機(特攻機)。
「ミステル」とは「宿り木」を意味する。

機体は既存の双発爆撃機(ユンカースJu88)と単発戦闘機Bf109またはFw190)をベースに改造したもので、機首に1.7トンの大型爆弾を埋め込んだ爆撃機の機体上部に戦闘機を接続した形態をしていた。
パイロットは戦闘機側に乗り込み、戦闘機・爆撃機双方の操縦系統を一人で操って目標まで飛行する。
そして目標に接近後、爆撃機を分離。爆撃機は一種の滑空爆弾となり、自動操縦で目標へ突入してこれを破壊する。*1
一方、パイロットの乗る戦闘機は、分離した爆撃機が目標へ突入するのを見届ければ帰還・再出撃が可能であった。

終戦までに250機以上のJu88が改造され、1944年から実戦に投入されたが、その頃には既に連合国軍航空部隊が圧倒的な航空優勢を手にしており、運動性の悪い同機は発見されれば格好の餌になった。
また更に、「滑空爆弾」となった爆撃機の爆弾も攻撃力はそれほど大きくなく、成果のほどは期待はずれだった。

厚さ7mmの装甲板を貫通できる成形炸薬弾が搭載され、特に艦船への攻撃に有効であると考えられていたが、高価な大型爆撃機を潰して得られる戦果が「当たりどころがよければ戦車1台」というのは、コスト・パフォーマンスの面できわめて効率の悪いものであった。


*1 この形態は奇しくも日本海軍の「桜花」と似ているが、桜花と違って発射母機より突入体の方が大きく、また、突入体側に人間は乗らない。

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