【ミサイル艇1号】(みさいるてい1ごう)

JMSDF PG-821 Class.

1990年代前半、日本の海上自衛隊が導入した高速ミサイル哨戒艇。

従来、沿岸での哨戒・海上阻止戦力としては魚雷艇がその任務に当たっていたが、時代は魚雷から対艦ミサイルへと変化していき、魚雷艇の後継として開発された。
船型はイタリアの「スパルヴィエロ(ソードフィッシュ)」級ミサイル艇をモデルとした全没型水中翼艇*1、主武装には国産の90式艦対艦誘導弾と遠隔操作型の20mm機関砲を装備している。
しかし、地中海での運用を前提に設計されていた船体*2は日本近海の荒波に弱く、また、構造上、中速域での航行が不可能であったり、船内に乗員の宿泊設備がないことなどから、不審船追跡など長距離の航海を行う任務には不向きであった。
更に、整備途中で仮想敵であったソ連が崩壊して冷戦も終結し、海上からの脅威が減少したという状況の変化もあって、建造は3隻で中断された。
(当初計画では18隻を建造し、ソ連太平洋艦隊と対峙する大湊・舞鶴・佐世保に6隻づつ配備する予定だった)

現在は3隻すべてが退役しており、本艇の後継としてはやぶさ型ミサイル艇が建造されている。
はやぶさ型では本級の弱点が改良され、モーターボートと同じ滑走型船体が採用された。

スペックデータ

定員11名
船型ハイドロフォイル型
排水量
基準/満載
50t/60t
全長21.8m(水中翼降下時)
全幅7.0m(水中翼除く)
深さ3.5m
喫水1.4m
主機翼走用推進:GE IHI LM500ガスタービンエンジン×1基 ウォータージェット×1軸推進
航走用推進:いすゞマリン製造6BD1TCディーゼルエンジン×1基
スクリュープロペラ×1軸推進
馬力4,000PS(翼走用)
130PS(艇走用)
最大速力46kt
主要兵装90式SSM連装発射筒×2基
JM61-RFS 20mm機関砲?×1基
Mk.137 6連装チャフフレア発射機×2基
C4Iシステム海軍戦術情報システム(OYQ-8+リンク11
レーダーOPS-18?対水上レーダー×1基
OPS-20?航海レーダー×1基
電子装備NOLR-9 ESM装置


同型艦

艦番号艦名主造船所起工進水就役退役所属
PG-821ミサイル艇1号
(JS PG No.1)
住友重工業
追浜造船所
浦賀工場
1991.3.251992.7.171993.3.222008.6.6第1ミサイル艇隊
(大湊地方隊余市防備隊)
PG-822ミサイル艇2号
(JS PG No.2)
住友重工業
追浜造船所
浦賀工場
1991.3.251992.7.171993.3.222008.6.6第1ミサイル艇隊
(大湊地方隊余市防備隊)
PG-823ミサイル艇3号
(JS PG No.3)
住友重工業
追浜造船所
浦賀工場
1993.3.81994.6.151995.3.132010.6.24第1ミサイル艇隊
(大湊地方隊余市防備隊)



*1 さらに源流をたどれば、アメリカのペガサス級ミサイル艇が原型となる。こちらも地中海への配備を前提に設計されたが実現せず、米本土の内海などに配備された。
*2 全長はペガサス級の半分程度しかなかった。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS