*&ruby(まるちろーるふぁいたー){【マルチロールファイター】}; [#ede03d5b]
Multi Role Fighter (MRF)

1機で複数種類の任務に対応できる[[戦闘機]]。~
「多用途戦闘機」「スイングロールファイター(Swing Role Fighter)」とも。~
代表的な機種としては、アメリカの[[F/A-18]]などが挙げられる。~

1980年代以降に登場した[[戦闘機]]は、ほぼ全てマルチロールファイターである。~
その設計思想は、[[湾岸戦争]]の[[戦訓>バトルプルーフ]]によって有効性が実証された。~

>アメリカ軍の[[F/A-18]]は、イラク空軍の[[迎撃戦闘機]]([[MiG-21]])を[[撃墜]]した上でかつ[[爆撃>空爆]]をも成功させて帰還。~
旧来の[[戦闘機]]・[[攻撃機]]・[[爆撃機]]の存在意義をほぼ完全に過去のものとした。

関連:[[DRF]] [[マルチロールアタッカー]]~
~
#ref(mrf.jpg)
[[AGM-65]]空対地ミサイルを発射する[[F-16]]戦闘機~
Photo: USAF


**設計思想と効能 [#nd53ffac]
かつての[[軍用機]]は、[[戦闘機]]・[[攻撃機]]・[[爆撃機]]・[[偵察機]]など目的別に設計されていた。~
これは当時の[[エンジン]]技術、つまり[[ペイロード]]搭載能力に大幅な制約があったためである。~
[[戦闘機]]の[[運動性]]、[[爆撃機]]の[[ペイロード]]搭載量、[[偵察機]]の[[航続距離]]は、全て両立できない性能である。~
搭載する装備を積み替えれば多少は互換性があったが、明白な限界があった。

>例えば、[[攻撃機]]が敵[[戦闘機]]に遭遇した際、任務遂行を放棄して[[爆弾]]を捨てれば戦えた。~
しかし戦えただけであって、それで[[戦闘機]]と互角の[[運動性]]を得られたわけではない。

しかし20世紀後半以後の技術進歩に伴い、搭載能力の余裕は大幅に改善された。~
[[戦闘機]]が[[対空>空対空ミサイル]]・[[対地>空対地ミサイル]]両方の[[ミサイル]]を抱えたまま十分な[[機動力]]をもって飛ぶ事も可能になったのである。~
これによって[[戦闘機]]と[[攻撃機]]を兼ねる機種、マルチロールファイターが誕生した。~
~
マルチロールファイターの出現は、航空戦略・戦術上の様々な利益を生み出した。~
:生還率の上昇|
[[攻撃機]]が敵[[戦闘機]]の妨害を受けても[[空対空ミサイル]]で反撃できる。~
また、地上の[[対空砲>高射砲]]陣地に遭遇しても[[空対地ミサイル]]で反撃できる。~
一つの標的に対する[[投射弾量]]は特化した機体よりも劣る傾向にあり、継戦能力は高くない。~
しかし、反撃が可能"かもしれない"と思わせるだけでも敵を警戒させて攻撃頻度を下げる効果がある。
:機体運用の効率化|
同じ機体を換装して、ある時は[[攻撃機]]・ある時は[[戦闘機]]と任務を転換できる。~
機種ごとに個別の整備・操縦技術を習得したり交換部品を調達する手間が省かれ、補給や人材育成が単純化される。~
:[[兵站]]への寄与|
作戦に関与する機体の種類が少なくなるため、特定の機体が不足したり過剰に備蓄される事も少なくなる。~
これにより、任務に必要な機体を配備するために作戦延期・中止・変更などを行う必要性も減少する。

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