【マーク1】(まーくわん)

第一次世界大戦で登場した、記念すべき世界最初の戦車

第一次世界大戦において、イギリス・ドイツ両軍は不毛な塹壕戦に陥り、戦線が膠着。
これを打破するため、イギリス軍は機関銃の掃射を防げる装甲で防御を固めて強引に塹壕を突破する突撃兵器「陸上戦艦」を着想。
いくつかの試作車が作られた後、1916年3月には遂にマーク1戦車として制式採用された。

不必要なほど巨大で剥き出しの履帯*1など、後世の設計思想で否定された特色が多く、現代の戦車とは風貌が異なる。
車体側面に1門ずつ、計2門の砲架を備え、これに6ポンド砲を搭載したオス型と、機関銃3挺(計6挺)を装備したメス型が作られた。

完成後、ソンム会戦で始めて実戦投入されたが、最初こそ初めて見る巨大な兵器はドイツ軍を驚かせたものの数が少なく故障が多発し、速度も遅かったため野砲に狙い撃たれてイギリス軍自体も大損害を受けた。
しかし、兵器としての基本的な設計コンセプトは有効性が実証され、改良型が次々と開発されることとなった。

なお、戦車を表す「タンク(水槽)」という呼称は、本車の開発計画をスパイから隠すために「飲料水を運ぶ車」と詐称していた事に由来するという。

スペックデータ

乗員8名(操縦手2名(うち1名は指揮官)、ギアーズマン2名、砲手4名)
全長9.94m
全高2.44m
全幅4.33m(メス型)
重量28.4t(オス型)
27.4t(メス型)
エンジンダイムラー・ナイトガソリンエンジン(105hp)
装甲6〜12mm
武装オス型:QF 6ポンド砲×2門、オチキスM1909 7.62mm機関銃×4挺
メス型:ヴィッカース7.7mm重機関銃×4門、オチキスM19097.62mm機関銃×2挺



*1 これは塹壕を乗り越えるだけの長さを確保するためであった。

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