【ボルヒャルト・ピストーレ】(ぼるひゃるとぴすとーれ)

DWM C93 Borchardt Pistole
「世界初の実用ピストル」と呼ばれる半自動式拳銃。使用弾は、専用の7.65mmボルヒャルト弾。
日本ではこれを英語読みにした「ボーチャード・ピストル」の知名度が高い。

ドイツ人のヒューゴ・ボルヒャルトは、引き金を引くだけで連発することの可能な拳銃がつくれないものかと研究していた。
かつてボルヒャルトが勤めていたウィンチェスター?社のレバーアクション?銃に採用されていたトグルアクション?機構を、セミオート化して拳銃へ応用したものである。

こうした「世界初のピストル」は1893年に完成した。銃把の中にマガジン式弾倉を差し込むというスタイルはこの時点で確立されていたものの、小銃を参考にしたメカニズムは非常に大きく、特にリコイルスプリングを内蔵したレシーバー部分が後方へ大きく突き出ていたことから、片手での保持は難しく、銃床を取り付けないと実用的な命中精度を望むことができなかった。
2,000挺前後が製造されたものの、不便なこの銃は広範な普及を望むべくもなかった。各国の陸軍も新しい火器である半自動式拳銃に興味を示したものの、実用的なものではないとして採用に踏み切る例は存在しなかった。

しかしDWM社のゲオルグ・リューゲルは、ボルヒャルト・ピストーレのコンセプト自体には可能性を感じており、その改良を進言した。これが後にスイス軍やドイツ軍などに採用される傑作拳銃パラベラム・ピストーレ(いわゆるルガー・ピストル)である。

一方、この改造計画に反目したボルヒャルトはDWM社を離反してマウザー兄弟に接近し、パラベラム・ピストーレに先駆けてドイツ軍に採用されるC96を開発することとなる。


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