【プルトニウム】(ぷるとにうむ)

原子番号94、元素記号Pu、比重は19.8(の2.5倍)の元素。
名前は当時新しく発見された天体「冥王星(Pluto)*1」に由来する。
アルファ崩壊を起こす放射性物質である。

生じる放射線は遮断の容易なアルファ線であり、防護は比較的容易。
ただし、粉塵の吸入などで体内に入った場合は少量でも長期にわたる被曝で死に至る。
また、重金属であるため化学的にも猛毒である。

自然界にはほとんど存在せず、化学合成も不可能。
ウラン238に中性子を照射すると生成される事が知られており、現存するほぼ全てが原子炉で生成されたものである。
また、原子炉の運用過程では企図しなくとも自然に生成されてしまう。

多数の同位体が存在するが、人類は主に 239Pu と 238Pu を利用している。
「 239Pu 」は「兵器級プルトニウム」とも呼ばれる核兵器の原料である。また原子炉の核燃料としても適する。
「 238Pu 」は原子力電池の原料であり、宇宙開発に利用される。

一般的な商用原子炉である軽水炉は副産物として 240Pu のプルトニウムを産出する。
「 240Pu 」は核反応が"ランダム"で信頼性に欠け、そのままではほとんど利用価値がない。
ただし、高速増殖炉を用いる事で 240Pu を兵器級プルトニウムに再精製する事が可能である。


*1 発見当初は「惑星」とされていたが、2006年に国際天文学連合が定義した「惑星」の概念には該当しない。

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