*【&ruby(ぶろーにんぐえむつー){ブローニングM2};】 [#p3539597]
Browning's M2 .50cal Heavy Machinegun.~
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1933年に[[アメリカ陸軍]]に制式採用された[[重機関銃]]。~
主に[[NATO>北大西洋条約機構]]諸国に採用されており、派生型も数多く存在している。~
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[[第一次世界大戦]]にてアメリカ軍は独仏両軍が使用する機関銃の威力に驚愕し、前線の歩兵を支援する強力な火器の必要性を身をもって実感した。~
戦後、軍は銃技師のジョン・ブローニングに前線への火力支援と[[観測気球>気球]]の[[撃墜]]を目的とした機関銃の開発を依頼。~
12.7mm弾の使用を前提に開発されたこの銃は火力支援のみならず、[[装甲]]目標や[[航空機]]さえも撃破可能な重機関銃として誕生した。~
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完成したのは1921年だが、大恐慌の影響で約20年間は金食い虫として煙たがられ、不遇をかこった。~
その後、[[第二次世界大戦]]の勃発により大量に発注される。~
同大戦中に限っても約200万挺以上が生産され、当時のアメリカ製兵器の多くに搭載された。~
原型銃の開発から既に80年以上が経過しているが、幾度となく近代化改修を重ねて今なお現役である。~
>本銃がここまで長らく愛用されているのは、偏に[[重機関銃]]を新規開発する動機がほぼ存在しないという戦術的・戦略的な事情による。~
本銃で対処できないような状況では、より優れた[[重機関銃]]を投入するよりも[[より強力な火器>機関砲]]・[[より利便性に優れる火器>分隊支援火器]]・[[より射程と精度に秀でた兵器>対戦車ミサイル]]などを投入する方が明らかに利口である。

M2は特に際立った性能を有する重機関銃では無いものの、この手の火器としては安価な上に整備性や拡張性に優れており、扱いやすい多目的重火器として重宝されている((1982年の[[フォークランド紛争]]では、アルゼンチン軍が本銃にスコープを取り付けて自動[[重狙撃銃>狙撃銃]]として用いていた。))((その実質堅固さが[[AK-47>AK47]]に似通っている為か、一時期アフリカや中南米諸国では非公式に「AK重機関銃」との愛称が用いられた事がある。当然ながら、カラシニコフ氏の製品とはなんら関連も無い、純然たるブローニング系統の火器である。))((利便性に優れるが故に後継機種の開発は思うように進まず、遂に頓挫してしまった。))。~
本来の用途から逸脱してしまってはいるが、今や[[汎用機関銃]]の代表格として軍民問わず高い名声を博している。~

**スペックデータ [#sd6b0eca]
|全長|1,645mm|
|銃身長|1,143mm|
|重量|38.1kg(本体のみ)/58kg(三脚含む)|
|[[ライフリング]]|8条右回り|
|使用弾薬|12.7mm×99 NATO弾(通常弾、[[焼夷弾]]、[[徹甲弾]]等)|
|装弾方式|ベルト給弾(1帯110発)|
|作動方式|ショートリコイル|
|発射速度|約400〜600発/分|
|銃口初速|853m/s|
|有効射程|700〜1,000m|
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**バリエーション [#wf17f283]
-AN/M2(MG53-2):~
航空機搭載型。手動型とコックピットからの遠隔操作が行える電磁トリガー型がある。~
[[P-47「サンダーボルト」>P-47]]などの戦闘機の主翼や機首に装備された。~
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-AN/M3:~
AN/M2の発展型。~
電気モーターを用いた補助機構により発射速度を1,200発/分に強化している。~
[[F-86「セイバー」>F-86]]他初期のジェット戦闘機の搭載武装として用いられた他、XM14/SUU-12[[ガンポッド]]としても使用された。~
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-GAU-15/A・GAU-16A・GAU-18/A:~
AN/M2及びAN/M3を基に軽量化されたヘリコプター搭載型。~
乗員が直接射撃を行うタイプ。~
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-M3M/GAU-21:~
AN/M2ベースのヘリ搭載型。~
ヘリコプターの側面ドアに銃架と共に固定されており、連射速度を上げ、スペードグリップを大型化している。~
また、メタルループが付けられており弾詰まりのトラブルを減らすことができる。~
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-M3P:~
AN/TWQ-1 [[アベンジャー防空システム>HMMWV]]搭載型。~
発射速度が950発/分と1,100発/分の選択式となり、銃口部に大型の筒形フラッシュハイダーが装着された。~
給弾方式は機械式のメタルループ方式となっている。~
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-12.7 Lkk/42 VKT:~
フィンランドでのコピーモデル。~
銃身のヒートカバーの形状がベルグマン MG 15nAに似た形状になっている。~
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-12.7mm重機関銃M2:~
[[陸上自衛隊]]での呼称。~
性能はM2基本型に準ずる~
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-13ミリ機銃:~
[[海上保安庁]]での呼称。~
性能はM2基本型に準ずる~
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-BRG-15:~
FN社がM2の後継に提案した改造型。~
口径の大きい15mmx106弾を使用する。1990年代に計画中止。~
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-M85:~
M2の設計を発展させて開発した50口径重機関銃。~
[[M60戦車>M60(戦車)]]とその派生型、およびLVTP7水陸両用[[装甲兵員輸送車]]に搭載されたが、構造が複雑で信頼性が低く、M2重機関銃に代わることはできなかった。~
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-XM806:~
ジェネラル・ダイナミクス社がM2の後継として開発を行っていた50口径重機関銃。~
重量をM2の約半分まで減少し、射撃の反動も約60%軽減することに成功したが、発射速度もM2の半分に低下してしまった。~
2012年に開発中止となった。~
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-K6:~
韓国が老朽化したM2の代替として開発したコピーモデル。~
銃身に把手を取り付けて、銃身交換を容易にした。~
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