【ブルパップ】(ぶるぱっぷ)

Bull-pup.

銃火器の設計用語で、弾倉回転機構などの機関部を銃把よりも後ろに配置する事。
銃床の支えを必要とするような大型の銃についての設計で、拳銃とはほぼ無関係。
拳銃では「銃把より後ろ」には何もない)

起源は20世紀初頭、ボルトアクションライフルの開発途上で考案された。
設計上の企図は銃の小型化で、銃身の長さを保ったまま銃全体の長さを切り詰める事を目的とする。

必要な銃身の長さは発射する弾体の重さと装薬の量に左右され、弾薬の規格によって制限されている。
銃身が短すぎると装薬のエネルギーを伝達しきれず、また弾道も不安定化し、破壊力・有効射程・命中精度が悪化する。

実際、ブルパップ式の採用によって小型化されるのは確かだが、一方で多くの欠陥を内包し、小銃設計では非主流である。
一方、対物ライフル擲弾発射器では後述の欠点が運用上あまり問題にならないため、ブルパップ式の採用例が多い。

欠点

ブルパップ式には、以下に挙げるような欠点が見られる。

引き金と機関部が離れている
これを接続するために長大な部品が必要になり、また内部機構が複雑になる。
製造・補修の手間を増やすほか、使用時の体感として「引き金の感触が良くない」などとも報告される。
射撃姿勢を取ると弾倉が脇の下に位置する
逆腕でスイッチや弾倉などを取り扱うのが困難になり、操作や弾倉交換のために射撃姿勢を解く必要が出てくる。
同様の理由から、ドラムマガジンやベルト給弾などのかさばる給弾機構は採用できない。
機関部が射手の頭に近い
銃声・衝撃波を浴びて耳に障害を負う危険性が高い。
(射撃スポーツであれば耳当て・耳栓も使えるが、戦闘時に耳を塞ぐのは明らかに危険である)
使用済み薬莢も顔のすぐ近くから排出される
このため、右肩・左肩のどちらかの構え方しかできない。構え方を間違えると高温の薬莢が射手の顔面に直撃する事になる。
死角からの敵に対して身体ごと振り向く手間が生じるため、白兵戦において重大な問題となる場合がある。
全長が短いため照準に問題が生じる
照門・照星を用いる一般的な照準器(アイアンサイト)では十分な精度を確保できない場合がある。
望遠鏡式照準器レーザー照準の精度には影響しないが、銃身に精密機器を別途搭載するのはしばしば忌避される。
また、交戦距離によっては望遠鏡やレーザーが役に立たない場合もあり、アイアンサイトに頼って射撃する機会は少なくない。

総じて、こうした欠点は比較的近距離での遭遇戦を想定する場合、ことさら自動小銃機関銃において最も重大な欠陥となる。


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