【ブラン】(ぶらん)

Буран*1.

ロシアのツポレフ設計局が開発したスペースシャトル
アメリカの「エンタープライズ」型と異なり、オービターには発射用エンジンを持たず、大気圏からの離脱には大型の「エネルギア?ロケットを用いる。
この方式では、高価なメインエンジンを再使用できないという欠点もあるが、オービターの自重が軽くなり、積載量が多くなるほか、着陸時の速度を下げることができるのでスペースシャトルより安全に大気圏再突入ができる利点がある。

1988年にバイコヌール宇宙基地から無人での初打ち上げが行われ、自動着陸に成功した。
予定では1992年に有人飛行を行うはずであったが、程なくしてソ連が崩壊。以降ブラン計画は全て破棄された。

現在は、力学試験機であるBran OK-TVAがロシアの首都モスクワにあるゴーリキイ公園のオブジェとなっているほか、飛行試験機であるBuran OK-GLIがシュパイアー技術博物館に引き取られ、展示されている。

関連:An-225

スペックデータ

全幅23.92m
全長36.37m
全高16.35m
最大積載量30t
最大離陸重量105t
ペイロードベイ長さ18.55m
ペイロードベイ直径4.65m
最大搭乗人数10人

バリエーション

  • 試験機
    • OK-GLI:
      大気圏内専用の飛行試験機。
      ランディングテスト(時速45キロ〜230キロ)、飛行テスト、パイロット訓練用として活躍した。
      AL-31ジェットエンジン×4基と自動操縦装置を搭載している。

    • OK-TVA:
      力学(振動)試験機。
      現在、モスクワのゴーリキイ公園に展示されている。
    • OK-TVS:
      環境耐久実験機。

    • OK-KS:
      電気試験機。

  • フリート
    • ブラン1.01:
      1号機。生命維持装置は準備工事のみで装着されなかった。
      カザフスタンのバイコヌール宇宙基地で保管されていたが、2002年に暴風に遭い喪失。

    • ブラン1.02:
      2号機。1号機と同様生命維持装置が装着されていない。
      非公式名称として「プチーチュカ*2」と呼ばれていた*3
      現在はカザフスタンのバイコヌール宇宙基地の施設内に保存されている。

    • ブラン2.01:
      実質3号機。
      生命維持装置付きとしては1号機。K-36RB射出座席を装備。
      完成度30〜50%で製造中止。
      現在はモスクワ州ジュコーフスキィにあるラーメンスコィエ空港に保管されている。

    • ブラン2.02:
      実質4号機。
      完成度10〜20%で製造中止。
      現在はツシノ機械ビル工場にあり、徐々に解体中。

    • ブラン2.03:
      実質5号機。
      モスクワのツシノ機械ビル工場で製作。計画中止と共に全て解体、廃棄された。

  • 派生型
    • MAKS-OS:
      4人乗りの小型宇宙往還機。
      ブランと異なり二基のロケットエンジンを持ち、燃料タンクを機腹に装着してアメリカのスペースシャトル方式で発射される。
      またエネルギアの小型版「エネルギア-M」の頂部にも搭載可能。

    • OS-120:
      オービター案。
      ロケットエンジンを3基装備し、機腹に「グロム (Гром)」という燃料タンクを装着している。
      基本構想としては米スペースシャトルとほとんど同じであるが、ロケットブースターとしてゼニット?を4機備えている点で異なる。

    • OK-92:
      オービター案。
      D-30ジェットエンジンを2基と姿勢制御ロケットエンジン1基を装備し、「ブラン」ロケットで打ち上げられる予定だった。


*1 吹雪の意。
*2 Птичка:小鳥の意。
*3 本来は「ブーリャ(Буря:嵐の意)」と名付けられるはずだった。

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