*&ruby(ふりっついくす){【フリッツX】}; [#la0cae00]
[[第二次世界大戦]]中、[[ルフトバッフェ]](ドイツ空軍)が配備した世界で最初の[[誘導爆弾]]である。~
正式名称は ルールシュタール/クラマー X-1(Ruhrstahl/Kramer X-1)。~
[[装薬]]の種類から[[破砕爆弾>低抵抗爆弾]]のSD1400X、[[榴散弾]]のFX1400X、[[徹甲爆弾>徹甲榴弾]]のPC1400Xの3つに分類される。~
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誘導方式には手動指令照準線一致誘導方式を採用。~
[[搭載母機>爆撃機]]の爆撃手が照準器でもって弾体後部に付けられた[[フレア]]を観測しながらジョイスティックを用いて誘導する。((後期には航空灯が追加され、夜間爆撃での姿勢識別を容易にしていた。))~
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初の実戦投入は1943年9月の事で、[[英米連合軍>連合国(第二次世界大戦)]]に[[降伏]]した上寝返った[[イタリア海軍>イタリア軍]][[艦艇]]への攻撃任務であった。~
この作戦では、3機の[[Do217]](([[Ju88]]若しくは[[He111]]とも言われており、定かでは無い))より投弾したPC1400X-1が[[戦艦]]「ローマ」の前部弾薬庫、機関室、左甲板(第2[[砲塔]]と艦橋の間近)に命中し爆沈、戦艦「イタリア」(旧称「リットリオ」)を大破させた。~
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同時期の英米連合軍による「アヴァランチ作戦」(独呼称「サレルノ水際戦」)では、部隊の上陸支援を行っていた英米海軍を襲撃。~
英戦艦[[クイーン・エリザベス級>クイーン・エリザベス]]「ウォースパイト」、米[[軽巡洋艦]]ブルックリン級「サヴァンナ」ほか輸送船を大破させ、サヴァンナは深刻な浸水が発生し、ウォースパイトは航行不能に陥った。~
また、対地上物攻撃にも使用されている。~
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最終的に1,386発が生産されたものの実戦に投入された数は多くない。1943年〜44年までに約半数が性能試験に使用された。~
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戦後、戦勝国が開発した初期の誘導爆弾並びに[[対艦ミサイル]]は、押収したX-1と[[Hs293]]の解析結果を基に作られたものである。~
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**スペックデータ [#s36fdc61]
|全長|3.26m|
|全幅|1.35m(フィン含む)|
|胴体直径|56cm|
|重量|1,570kg|
|最大速度|1,035km/h(諸説あり)|
|弾頭|アマトール爆薬|
|弾頭重量|320kg|
|飛行高度|5,000〜7,000m|
|射程|5km|
|推進方式|無し|
|誘導方式|手動指令照準線一致誘導(Kehl/Strassburg : FuG203 & FuG230)|
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**派生型 [#a320be74]
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-X-1:~
基本生産型。~
基本型以外にも多くの派生型が作られたが量産はされていない。~
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-X-2:~
降下速度の増速と[[赤外線誘導装置>赤外線誘導]]の搭載を予定したもの。~
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-X-3:~
弾体を大型化し、[[音速>マッハ]]以上の降下速度と射程延長を計画したもの。~
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-[[X-4>ルールシュタール/クラマー X-4]]:~
[[空対空ミサイル]]型、詳しくは項を参照。~
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-X-5:~
弾体をさらに大型化し、増大した空気抵抗により減速した降下速度を質量増大([[装薬量>爆薬]]増量)で解決を図ろうとしたもの。~
総重量は2,250kgに達した。~
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-X-6:~
弾体先端と炸薬を強化した重徹甲爆弾型。~
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-ペーターX(Perter X):~
先行試作品の中の1つで、X-5に相当する大きさだが装薬量はX-1程度しかない。(([[He177]]のマニュアルには2,500kg爆弾として記載されている。))~
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