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*&ruby(ふぇいずどあれいれーだー){【フェイズドアレイレーダー】}; [#hdad8b16]
固定式の板状のアンテナに無数の位相変換素子が配置されている[[レーダー]]。~
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アンテナを回転させず、電気的な動作(位相変換走査)のみで、任意の方向にレーダー波を照射したり、任意の方向から来たレーダー波を受信することができる。~
そのため、全天の素早い探索が可能になり、一方で駆動部分が無いため保守点検の工数を削減できるという利点もある。~
また、それぞれの素子が発する電波は微弱であっても、返ってきた電波を重ね合わせて合成することで目標を探知出来るため敵の警戒装置に探知されにくいという特徴も持つ。~
また、それぞれの素子で波長の違う微弱な電波を照射して、返ってきた電波を重ね合わせて合成することで目標を探知出来るため敵の警戒装置に探知されにくいという特徴も持つ((航空機や地上基地に備えられているレーダー警戒装置は、大抵強い決まった波長の電波を照射されると作動するようになっているため、波長を様々に変えた弱い電波をレーダー照射と認識できないことがある。))。~
艦船などに搭載される場合は、従来のように頭頂部にレーダーを搭載する必要が無く、[[レーダー反射面積]]を縮小できる。~
より大型の指向性が高い(長距離探知・高解像度)アンテナを搭載することが出来る利点もある。~
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従来の[[レーダー]]は、自らの正面のみでしかレーダー波の送受信が出来ない。~
そのため、機械的な首振り動作を必要とし、一周全天を探索するのに数秒以上を要する。~
その数秒間に長距離を移動できる高速な物体([[航空機]]・[[ミサイル]]など)や、複数目標の正確な位置情報を得る用途には不向きである。~
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フェイズドアレイレーダーは、前述のように、位相変換素子がレーダー面上に並んでいる。~
これにより、それぞれの位相変換素子が送受信されるレーダー波の位相を任意に変化させる。~
変換されたレーダー波を重ね合わせると任意の方向のみのレーダー波が強調され、他の方向のレーダー波は打ち消される。~
このように、それぞれの位相変換素子の位相変換量を個別に変えていくことにより、レーダー波の送受信方向の変換を行う。~
この走査に機械的な部分は存在しないため、高速なレーダー波の送受信方向の変換、すなわち全天の高速な捜索を可能とする。((この場合4面のアンテナを必要とするが、コストダウンのため1面のアンテナを回転させて機械的な走査をするものも多い。回転式のフェイズドアレイレーダーであっても、二次元レーダー並みのスピードで三次元走査のできる利点がある。))~
[[レーダー]]のビーム幅(指向性)に大きな影響を与えるアンテナ径はフェイズドアレイアンテナそのままである。~
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この位相変換素子にそれぞれ電波の送受信機が付属しているものを[[アクティブ方式>アクティブフェイズドアレイレーダー]]、別の場所に送受信機を持ち、導波管を介してアンテナ・位相変換素子から電波が送受信されるものをパッシブ方式という。~
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パッシブ方式は送受信を別の素子で行わなければならないため、[[アクティブ方式>アクティブフェイズドアレイレーダー]]に比べやや大型である。そのため、[[パトリオットシステム>MIM-104]]や[[イージス艦]]など、地上施設や艦船で用いられる。~
他方、[[アクティブ方式>アクティブフェイズドアレイレーダー]]は高い技術力が要求されるが、小型化できる利点があるため[[F-2]]や[[F/A-22]]など最新鋭[[戦闘機]]などに多く用いられる。~
例外として世界で最初にフェイズドアレイレーダーを搭載した[[戦闘機]]である[[MiG-31]]は、[[戦闘機]]として唯一パッシブ方式を採用している。

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[[MIM-104パトリオット>MIM-104]]のレーダー車。


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