【ファイタースウィープ】(ふぁいたーすうぃーぷ)

Fighter Sweep(FS).

敵味方が戦闘機部隊を繰り出して交戦し、互いを撃墜させあう任務。
攻勢対航空作戦の一種であり、敵軍の戦闘空中哨戒を不可能にして航空優勢を獲得するために実施される。
第二次世界大戦頃までの、航空戦術が未発達であった時代には盛んに行われた。

戦闘機やそのパイロットを主な題材としたフィクション作品では、いわゆる「空戦」として華々しく描写される事が多い。
当のパイロット達にとっても名誉ある任務とみなされ、高い士気をもって行われた。
(事実、往事の戦闘機パイロットは他の兵科に比べて異常なまでに戦争神経症の罹患率が低かった)
とはいえ、戦術的優位のない状態での正面決戦であるため、ほぼ常に甚大な損耗を伴う任務でもあった。

陸戦で敗北した場合、戦闘員の30%以上が死亡するのはかなりの異常事態である。
大抵の部隊指揮官は勝機を失った時点で撤退に移るか、降伏を申し入れ、少なからぬ人員が生還する。
しかし、ファイタースウィープで敗北した場合、パイロットの未帰還率が30%以下である事はまずない。
敵機の機動力を相手取っての撤退は極めて困難であったし、空中での降伏は不可能だった。

航空機への対抗手段が航空機のみであった時代、空戦による多大な損耗は不可避であった。
しかし地対空ミサイルの発展に伴い、戦闘機対航空作戦の主力から転落していった。
現代の攻勢対航空作戦飛行場及び航空母艦の破壊によって成され、その攻撃は攻撃機か大型ミサイルで行われる。
戦闘機も未だ作戦に不可欠だが、その役割は攻撃ではなく防御・迎撃へと移っている*1

関連:戦闘空中哨戒攻勢対航空作戦


*1 このため、近年の戦闘機マルチロールファイター化することにより、作戦運用・教育・訓練などの効率化を図ることがトレンドとなっている。

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