【ビジネス機】(びじねすき)

数名〜十数名程度の人員を輸送することを目的とする、比較的小型*1固定翼機
主として、企業の(営利を目的としない)人員輸送に用いられるためこう呼ばれている。

類似の機体に「コミューター機」「エアタクシー」と呼ばれる小型旅客機があるが、これらは近距離輸送用のため燃料搭載量や航続距離が小さく、いささか異なる。

近年ではほとんどの機体がジェット(主としてターボファン)推進であることから「ビジネスジェット」「カンパニー・ジェット」「コーポレート・ジェット」「エグゼクティヴ・ジェット」とも呼ばれている。

欧米ではアメリカ同時多発テロ以降、企業や富裕層に属する個人から「テロの標的になりにくい」長距離移動手段として需要が高まっている。
しかし、中東や日本では国情から需要がほとんどなく、その分、エアラインのファーストクラスに需要がある。(日本の事情については後述)

主な使われ方

  • 民間(個人・法人)
    • 企業が所有し、幹部や社員の移動手段として用いる場合(社用機)
    • 富裕層に属する個人が、自らや親族・関係者の移動手段として用いる場合(自家用機)
    • 報道機関の取材用として用いる場合
    • パイロット候補生への操縦教育の教材として用いる場合(練習機
  • 軍隊・治安・防災機関などの政府諸機関
    • 要人輸送用
      政府高官の非公式移動などにも用いられる。
    • 捜索救難
      船舶やヘリコプターよりも優れた対地速度を生かし、遭難現場に急行して要救助者の位置を特定したり、後続の救難ヘリを誘導したりする目的に使われる。
    • 教育・訓練用(練習機
      戦闘機攻撃機マルチロールファイター)以外の固定翼軍用機輸送機哨戒機救難機戦略爆撃機AWACSなど)に搭乗するパイロット候補生の操縦教育や、搭載機器を操作する航空士の教育・訓練用(機上作業練習機)として用いられる。
    • 特殊部隊諜報員の国外展開用
      民間での普及具合を活用する形で、国外へ隠密に侵入させるのに用いる場合がある。
      その際は軍用機としての塗装・マーキングは行わず、民間機に偽装することが多い。
    • (治安・防災機関における)洋上監視・取締
      密貿易・違法入出国・漁船の違法操業・海賊行為・汚染物質の海上不法投棄などが対象となり、船舶やヘリコプターと連携して活動する。

日本での事情

前述のように、欧米では幅広く普及しているビジネス機であるが、日本では民間市場にほとんど需要がないのが現状であり、主な販売先は防衛省海上保安庁などの政府機関や一部の大手企業(特に報道機関)となっている。
これは「国土が狭く、それでいて他の交通手段(道路・鉄道*2)が高度に発達していること」や「航空法などの諸法令や空港の設備・運営が大手航空会社に有利なようになっていること*3」などが主な要因と見られている。


*1 B737旅客機をベースとした「BBJ(ボーイング・ビジネスジェット)」のような例外もある。
  また、エアラインから退役した中古の中型〜大型旅客機を自家用機として使う者もいる。

*2 特に新幹線が多くの主要都市間を結んでおり、利便性・定時性などの面でビジネス機が不利な状況にある。
*3 一部の大規模空港で「フライトプランを飛行の数日前に提出する義務がある(突発的な飛行ができない)」ことや、「最大離陸重量が5,000kg以上の機体を運用するには『運航管理者』を置かねばならない」ことなど。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS