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【ビジネス機】 †
数名〜十数名程度の人員を輸送することを目的とする、比較的小型の旅客機*1。
「ビジネスジェット」「カンパニー・ジェット」「コーポレート・ジェット」「エグゼクティヴ・ジェット」とも呼ばれる*2。
ペイロードが不十分で運賃を求めるには非効率なため、所有者が業務上の経費を費やして運行する。
関連:フラクショナル・オーナーシップ
主な使われ方 †
- 社用機
- 企業が所有し、従業員の移動手段として用いる。
- 自家用機
- 個人の名義で購入し、家族・親戚や使用人などを載せて運ばせる。
- 報道機関
- 取材班の急行・記事素材の回収に用いる事がある。原則として航空撮影には用いない。
- 要人輸送(政府専用機)
- 政府や軍隊・フラッグキャリアが保有し、国家元首や政府高官などの移動手段として用いる。
- 捜索救難
- 出動要請後の初動に投入され、要救助者の捜索と救援物資の投下を行う。
単体での救助はできないため、初動後は後続のヘリコプターの誘導に専念する。 - 練習機
- 比較的安価に調達できる機体として、エビエーターの操縦訓練・機上作業訓練に用いられる事がある。
戦闘機(マルチロールファイター)乗りにはあまり縁がない*3。 - 特殊作戦
- 民間機に偽装し、隠密裏に出入国させるために用いる事がある。
- 警察・防災機関(国境警備隊・沿岸警備隊・警察軍・国家憲兵隊など)
- 密輸・違法入出国・漁船の違法操業・海賊・海上不法投棄などを監視するために用いられる。
需要 †
民間用途としての需要は、自家用車や鉄道利用と競合する。
当然ながら、車や列車の方が早い状況でビジネス機が手配される事はない。
道路網・鉄道網の整備状況は国ごとに異なるため、需要も当然、国ごとに異なる事情を持つ。
国土の広い大陸国家や、貿易への依存度が高い国家では、道路や鉄道を敷くにも限界がある。
また物理的に移動距離が長い場合、優速な飛行機が活用される機会も多い。
アメリカ、ロシア、EU各国などはこうした理由から飛行機を所有する利点が多く、ビジネス機の需要が高い。
加えて、政情が不安定な場合、旅客機の定期航路はテロリストの標的になるとして富裕層に忌避される。
安全を買うために飛行機を買う、という発想が現実的なのであれば、やはりビジネス機の需要は伸びる。
逆に言うと、国土が狭く、内需に傾倒し、治安の良い国家では上記の逆の現象が起きる。
整備された道路や鉄道があるのなら、よほど長距離でない限り飛行機など使うものではない。
どうしても航空輸送が必要な場合も、緊急性や安全性を求めないのなら定期航路を利用すれば事足りる。
中東や日本などがこの典型であり、こうした国ではビジネス機の需要は少ない。
また、比較的早い段階から交通網の整備を始めた国では、法制度が自動車・鉄道に有利になるよう設定されている事が多い。
航空機に特有の危険があるのは事実だが、この危険性に対する管制の過敏さは国ごとに温度差がある。
自家用機を比較的気軽に運行できる国もあれば、数日前に飛行計画を提出しなければならない国もある。
そしてもちろん、管制が厳格であればあるほど、ビジネス機を私有する利点は失われていく。
*1 ボーイングB737をベースにしたボーイングビジネスジェット(BBJ)やエアバスA319をベースにした「エアバス・コーポレートジェット(ACJ)」といった比較的大型な機体もある。
また、エアラインからリタイヤした中古の旅客機を買い取って自家用機として用いる者もいる。
*2 近年の機体はほとんどがジェット(ターボファン)推進であるため。
*3 戦闘機は標準的な飛行機とは全く異なる挙動をするため、ビジネス機の操縦経験がかえって害になる場合がある。
そのため、戦闘機パイロット候補生の教練には同様の挙動ができる機体が用意される。