【パパ】(ぱぱ)

K-162(後にK-222に改称)

旧ソ連が開発した原子力ミサイル潜水艦(SSGN)
NATOコードでは「パパ(Papa)」級、旧ソ連海軍ではプロジェクト661型「アンチャール」と呼ばれている。
1968年に1番艦がセヴェロドヴィンスク造船所で進水し1969年に就役、1970年1月13日に42kt(原子炉出力80%)、翌1971年には44.7kt(82.8km/h)を記録し、潜水艦の潜航中速力の世界記録を達成した。
この記録は、現在も破られていない。

だが、より安価な高張力鋼製の「チャーリー」型の調達が軌道に乗ったほか、後継のミサイル(P-120「マラヒート(NATOコード:SS-N-9「サイレーン」)」)の開発も進むなどして、システムが陳腐化した事の他、大型で推進時の水中雑音が酷い事、高速力を発揮した際には船殻外部を損傷する場合もあった事などを理由に2番艦以降は本格的な量産は行なわれなかった。
そのため、就役期間のほとんどは実験艦として過ごしている。

乗員は約82人で、艦首には533mm魚雷発射管6基を装備。
兵装は通常の533mm対潜/対艦魚雷や対艦用核魚雷(15kT級)の他、RPK-2「ヴィユーガ(SS-N-15「スターフィッシュ」)」対潜ミサイル?P-120「マラヒート」(SS-N-9「サイレン」)?艦対艦ミサイルAMD-1000?沈底機雷の他、P-70「アメチースト(NATOコード:SS-N-7「スターブライト」)」も搭載できた。
なお、この情報はつい最近分かったものでそれまで西側に殆ど情報が入らなかった事から「謎の潜水艦」と言われていた。

パパ級は就役後直ぐに新型対艦ミサイル魚雷の試験艦として使用されたが、1980年に炉心交換作業中に1次冷却水漏れにより原子炉室が汚染される事故を起こした。
その後、1988年に予備役になり、1989年に退役。
その技術はアルファ?級(プロジェクト705型)・オスカー?級(プロジェクト949型)・チャーリー?級(プロジェクト670型)攻撃潜水艦に受け継がれている。
解体も予定されていたが予算不足で実行されず、「セヴマシュ」で保管中であったが2010年に「ズヴェドチカ(Zvezdochka)」工場(セヴェロドヴィンスク)で解体された。

関連:アルファ級? オスカー級? チャーリー級?

661.jpg

Photo:Russia navy

スペックデータ

乗員82人
排水量
(水上/水中)
5,200t/7,000t
全長106.9m
全幅11.5m
喫水8.2m
船体構造チタン製複殻式 9区画
推進機関原子力ギアードタービン
VM-5型加圧水型原子炉(177.4MW(2,378,973hp))×2基
蒸気タービン×2基 2軸推進
銀亜鉛電池(補機)×152基2群
速力
(水上/水中)
20kt(37km/h)/42kt(78km/h)
潜行深度
(通常/最大)
400m/500m
兵装533mm魚雷発射管×6基(魚雷など最大12発)、ミサイル発射管×10基
・533mm対艦魚雷/対潜魚雷
P-120「マラヒート」(SS-N-9「サイレン」)?艦対艦ミサイル
P-70「アメチースト」(SS-N-7「スターブラスト」)?対艦巡航ミサイル
RPK-2 ヴィユーガ(SS-N-15「スターフィッシュ」)潜対潜ミサイル
・15kT級対艦用核魚雷
AMD-1000?沈底機雷
FCSラドゥガP-661 魚雷発射制御システム
レーダー「スヌープトレイ」(水上捜索)×1基
Radian-1(機雷検出)×1基
RLK-101レーダーシステム
MTP-10レーダーシステム
ソナーMGK-300「ルビーン」低周波艦首ソナー×1基
中周波魚雷発射管制ソナー×1基
ミサイル発射管制ソナー×1基
電子戦・対抗手段「シグマ661」航法装置
「ブリックスピット」傍受&脅威警戒ESM装置×1基
「ブリックパルプ」パッシブ傍受&脅威警戒ESM装置×1基
その他装備「ニフロム」IFF
VHF通信機
UHF通信機
「パークランプ」方向探知アンテナ×1基
水中電話×1基


同型艦

艦番号起工進水就役除籍備考
K-262

K-222
1963.12.281968.12.311969.12.311989.1984.予備役
2010. 解体



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