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*&ruby(ばとるぷるーふ){【バトルプルーフ】}; [#d784c981]
Battle Proof.実戦での証明の意。~
武器、兵器が実戦で使用され、その性能や信頼性などが証明されること。
Battle Proof.~
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武器・[[兵器]]が実戦で使用され、その性能や信頼性に関する実際の情報を集積する事。~
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兵器の[[カタログスペック]]と実測値の差異、設計思想や運用[[ドクトリン]]の実用性、などが問題となる。~
ただし多くの場合、バトルプルーフは欠陥と問題点に関する報告であり、潜在的な問題点が顕在化していく過程である。~
欠陥が許容範囲に留まった兵器が採用され、修正可能な欠陥や問題は改善され、どうしようもないものは運用停止されて戦場から消える。~
過去に有効性を証明された兵器も、時代が変わって次世代兵器に遅れをとるようになれば信頼を失い、いずれは除籍される事となる。

高性能を誇る新兵器であっても、実戦における苛酷な環境や不意の出来事など、様々な要因により、兵器が設計された平時において算定される[[カタログスペック]]が発揮できない事が多々有る。~
そのため、バトルプルーフされた性能はその兵器の真の能力を表しているとして高い信頼を受け、より高性能であったはずの兵器を押しのけて採用されるような事も少なくない。~
また、バトルプルーフで明らかになった問題点を克服する改良が加える事によって、信頼性を高める事も出来る。~
>たとえば、[[湾岸戦争]]で集積されたバトルプルーフは各国の兵器産業に正負両面で多大な影響を及ぼしている。~
アメリカを中心とする[[多国籍軍]]は、当時最新の[[サイバネティックス]]関連技術を実戦証明し、これによって兵器の更新が進み新たな需要が創出された。~
一方、イラク軍が惨状を呈したため、その兵器輸出元であった旧ソ連の軍需産業は面目と信用を大きく損なった。

基本的に、信頼性の高い兵器は多くのバトルプルーフが集積され、問題や欠陥の修正作業を長く経てきている。~
逆に、画期的な新兵器はほぼ確実に未知の欠陥を抱えており、その欠陥が発覚する過程で将兵の命を損なう可能性が高いため忌避される。~
新兵器は[[制式]]採用される前に危険な試験運用を必要とし、また設計思想を洗練させるために多種多様なバトルプルーフを必要とする。~

**バトルプルーフと兵器輸出 [#k10449f7]
バトルプルーフの概念は、軍需産業を抱える先進国の多くが兵器輸出を行う理由でもある。~
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[[フォークランド紛争]]における[[対艦ミサイル]][[エグゾセ]]や、世界の紛争地帯には必ず有ると言っても過言では無い[[AK47]]がその代表的な例であろう。~
一方、1945年以降の日本で[[自衛隊]]向けに開発・生産された国産兵器は、政府の「[[武器輸出三原則等]]」の政策によりバトルプルーフを得ることができないため、カタログスペックに重点をおいてなされる能力評価はその信憑性に疑問が持たれることになる。
バトルプルーフを得るために必要な「実例」の多くは[[紛争]]でのみ生じ、安定した先進国の一企業が独自に入手する事はできない。~
また、そもそも軍需産業の需要自体が安定した先進国では限られており、拡大再生産を望みにくく、市場原理に任せていると衰退する傾向にある。~
しかし自国の軍需産業が衰退していく事を[[軍政]]は容認できないため、政府は軍需産業を保護し、監督し、需要を誘導する必要がある。~
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結果として、多くの軍需企業は輸出を念頭に置く事になる。~
国内で十分な収益を確保できないのなら、国外の市場に活路を見いだすより他にない。~
先進国が先進的な兵器を開発して輸出し、各国の[[紛争]]からバトルプルーフを集積して開発力を高める、というビジネスモデルである。~
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これをして「兵器を売って儲けるために陰謀を巡らせ、新兵器の実験のために[[紛争]]を起こす死の商人」と解する陰謀論もなくはない。~
軍需を確保する上で[[軍事ケインズ主義]]的な政治工作が行われた事例は多く、実態から乖離した利益誘導やプロパガンダもしばしば選択される。~
また、兵器の需要を確保する事は、兵器が消費される環境の構築を意味し、それは構造上の必然として[[代理戦争]]や[[内戦]]を誘引する。~
そこに陰謀が存在しないはずはないが、その陰謀の主体はふつう軍需産業ではない。~
軍需産業は数多ある利害関係者の一角に過ぎないからだ。~
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危険な兵器を取り扱い、バトルプルーフを集積し、人の死に様を研究して得るものが金銭だけなら、国家政府がそのような提案を承認する可能性は低い。~
兵器輸出国が求めるのは基本的に自国の生存権であり、[[軍事]]的優位であり、それを維持するためのバトルプルーフと軍需産業である。~
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関連:[[武器輸出三原則等]] [[防衛装備庁]]


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