*&ruby(ばいかうんと){【バイカウント】}; [#qc641079]
Vickers Viscount.~
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英国のヴィッカース社が1940年代〜1960年代に開発・生産した[[四発>多発機]][[ターボプロップ]][[旅客機]]。~
世界初の商業用[[ターボプロップ]][[輸送機]]として1953年に開発され、1963年までに445機が生産された。~
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当初は24名の旅客を乗せて1750マイルを運航できる旅客機として計画された。~
[[エンジン]]は4基を搭載したが、これは当時の[[ターボプロップ]]の出力が小さく、双発では十分な[[推力]]が得られなかったためである。~
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1948年に最初のタイプ「モデル630」が[[初飛行]]。~
その後、座席数を53に増やし、速力を308マイルにアップさせた「モデル700」が量産型として生産され、1953年からBEA(英国欧州航空)で運用が開始された。~
戦後の機体にふさわしく、[[キャビン]]に与圧構造を採用し、ターボプロップによる高速に加え、低振動で静粛性にも優れていたことから顧客の人気を博し、エア・カナダや[[KLMオランダ航空]]、クバーナ航空や[[全日本空輸]]などの諸外国の航空会社にも採用された。~

***日本でのバイカウント [#g0f2b04a]
日本では[[全日本空輸]]がモデル700及びモデル800を計11機導入した。~
導入当初、レシプロ機よりも高い高度を飛べることを活かし、[[客室乗務員>フライトアテンダント]]が~
「ただいま当機の下に見えてきましたのが、先に出発した[[日航>日本航空]]機([[DC-4]])でございます」~
と案内したり、広告でも「テーブルの上にタバコが立てられます」とPRするなど、ターボプロップの利点をアピールしたが、まもなく日本航空も、国際線用に導入した[[DC-7]]や[[コンベア880]]といった新鋭機を投入したことにより、このような優位性もすぐに失われた。~

**その後 [#t1f164d3]
本機は1960年代に入ると、[[ロッキード]][[L-188]]などの大型ターボプロップ機や[[シュド・カラベル>コメット]]、コンベア880、イリューシンIl-18といった競合機の出現で受注が伸び悩み、更に英国製の純ジェット機「BAC 1-11」の開発も始まったことから、1963年に販売を終了した。~
その後はBEAやヴァージン・アトランティック航空などが1980年代まで使用した他、東南アジアやアフリカの航空会社に払い下げられた機体が1990年代まで運用され、2009年にコンゴの航空会社から退役したのを最後に姿を消した。~
現在は英国やカナダ、ニュージーランドの博物館で数機が静態保存されている。~

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