【ナパーム弾】(なぱーむだん)

原油から抽出されるナフサにナパーム剤(後述)を添加した油脂焼夷弾
第二次世界大戦中にアメリカ軍が開発した。
焼夷力がきわめて大きく、900〜1300℃というきわめて高い温度で燃焼し、広範囲を焼尽、破壊する兵器である。
欧州戦線で、ドイツ軍を攻撃するためにフランスのクタンスでP-38により初めて使用された。
また、日本本土空襲でも使用された。

戦後は第1次インドシナ戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争でも多数使われた。

詳しい概要

初期に開発されたナパーム弾の構造は、ナフサにパーム油*1から抽出したパルミチン酸*2アルミニウム塩、乳化剤としてのナフテン酸*3などを混合したものを落下燃料タンクに充填、これに信管をつけて航空機から投下したものだった。
(同じ混合液体は火炎放射器の噴射剤でも使用された)

この充填物は、人体や木材に付着すると親油性のため落ちにくく、水をかけても消火は困難である。
消火には界面活性剤*4を含む水か、ガソリン火災専用の消火器が必要である。
また燃焼の際に大量の酸素が使われるため、着弾地点から離れていても、酸欠によって窒息死したり、一酸化炭素中毒死したりすることがある。

そもそも「ナパーム」(Napalm)はナフテン酸(naphthenic acid)、パルミチン酸(Palmitic acid)のアルミニウム塩(Aluminum Salts)の略語からきており、石油類を混合するとゼリー状にゲル化する増粘剤である「ナパーム剤」のことである。


*1 アブラヤシの果実から得られるから植物油。
*2 炭素数16の飽和脂肪酸。
*3 石油から生産される混合物で、各種添加剤として使用される。おもに金属石鹸や防腐剤などに使用される。
*4 水溶液の表面に吸着し、表面の性質を変える物質。水と油を混合させるという特殊な性質を持つ。

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