【ドレッドノート】(どれっどのーと)

Dreadnought(「恐れしらず」の意)

  1. 1870年にイギリス・ウェールズ ペンブルック造船所で建造されたイギリス海軍の砲塔装甲艦。

  2. 1906年にイギリス・ポーツマス工廠で建造された戦艦
    ド級の語源となった。

    当時は、何kmも先にいる敵艦と撃ちあうなどということが現実的ではないとされ、またそれに必要な大口径の砲も扱いにくく、実用に耐えうるものではないだろうと思われていた。
    そのため、各種口径の砲を混合搭載することが一般的であり、また、船首に備えたラムを用いる戦法(衝角攻撃*1)も一般的であった。
    しかし、日露戦争において日本海軍が遠距離射撃を行った実績が注目され(これについては諸説あり)、12インチ砲10門・3インチ砲24門・18インチ魚雷発射管5基を装備し、かつ11インチの装甲という当時は桁外れの重武装、重装甲の戦艦が完成することとなった*2
    注目すべき点は、主砲塔5基のうち3基を中心線上に配置したことにより、右舷・左舷両面に対して砲撃できるようになったことで、以降の戦艦は少なからずこの配置を採用している。
    世界はこれにより一気に大艦巨砲主義という方向に流れだし、列強各国は建艦競争に突入して行くこととなる。

    しかし、本艦の生涯唯一の戦果は、第一次世界大戦中の1915年、ペントランド河口付近を哨戒中に発見したドイツ潜水艦「U-29」を衝角攻撃で沈めたのみであった。

    スペックデータ
    主造船所ポーツマス造船所
    起工1905.10.2
    進水1906.2.10
    就役1906.12.2
    退役1919.
    備考1922. スクラップとして売却
    1927. インヴァネスで解体
    排水量
    (常備/満載
    18,110t/21,845t
    全長160.6m
    全幅25m
    吃水8m/9.4m(満載)
    主缶バブコック・アンド・ウィルコックス式石炭・重油混焼水管缶×18基
    主機パーソンズ式直結タービン(高速・低速)×2組4軸推進
    出力23,000hp
    最大速力21.0kt
    航続距離6,600浬(10kt)
    乗員定数800名
    武装Mark10 45口径12インチ(30.5cm)連装砲×5基
    QF 7ポンド 50口径3インチ(7.6cm)単装砲×27基
    18インチ(45cm)単装魚雷発射管×5基
    装甲舷側:279mm(舷側)
    甲板:76mm
    砲塔前盾:279mm
    バーベット部:279mm(最厚部)
    司令塔:279mm

  3. 1963年に就役したイギリス海軍初の攻撃型原子力潜水艦
    アメリカ海軍スキップジャック?級を参考に建造された。
    しかし、その船体は涙滴型ではなく旧式の鯨型を採用するなど保守的な設計であった。また、原子炉はアメリカ製である。
    実験的意味合いが大きかった艦であるため同型艦はなく、以後量産されたのはヴァリアント?級である。

    1980年、原子炉の二次冷却水漏出事故を起こしたのを契機に解役。
    現在はロスサイスの工廠にて、船体が帯びた放射能が消失するまでの無期限保管となっている。

    性能諸元
    船型鯨型
    排水量
    (水上/水中)
    3,556t/4,064t
    予備浮力14.4%
    全長81m
    全幅9.8m
    吃水7.9m
    主機ウエスティングハウス S5W型加圧水型原子炉×1基
    ギアード蒸気タービン×2基1軸推進
    出力15,000shp/11MW
    速力
    (水上/水中)
    20kt/28kt
    乗員88名
    兵装533mm魚雷発射管6門(魚雷24本)

    同型艦
    艦番号艦名主造船所起工進水就役退役備考
    S101ドレッドノート
    (HMS Dreadnought)
    ヴィッカース・
    アームストロング
    1959.6.121960.10.211963.4.171982.ロスサイスで保管中


*1 具体的には「ラムを敵船の船腹にぶつけて動きを封じた後、武装船員を乗り込ませて白兵戦により拿捕する」
  あるいは「ラムを敵船の船腹にぶつけて穴を開け、浸水させて沈没に持ち込む」というもの。

*2 また、英国戦艦としては初めてラムを廃止した艦でもある。

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