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【ドラケン】 †
SAAB35 Draken.
スウェーデンのサーブ社が、スウェーデン空軍のサーブ29「トゥンナン」の後継として開発した戦闘機。
愛称はドラケン (Draken:スウェーデン語で竜)。
1955年に原型機であるSAAB210(リトルドラケンと呼ばれる)が初飛行した。
当初は昼間迎撃機として開発されたが、電子装備などの改良により全天候迎撃機へ、また一部はマルチロールファイターへと変貌した。
有事の際、一時的に滑走路として使用される公道からでも2,000m以内で離着陸可能なSTOL性や、着陸後10分以内の再給油/再武装といった、スウェーデンの国情に合わせた設計がなされている。
艦載機ではないものの、シェルター格納の必要から外翼部が容易に取り外せる構造で、短縮時の全幅は5m以下に納まり、村落の牛舎や営農倉庫のような場所にも隠蔽可能な小型軽量振りであったが、その反面、機内の燃料搭載スペースは限られ、航続距離は短くなってしまった。
また、飛行安定性に難があって事故喪失率も低くはなく、フライバイワイヤーの補助がなかった時代も相俟って、パイロットには高い技量が求められた。
最終的に615機が生産され、2005年12月までに全機退役している。
性能諸元 †
全長:15.35m
全幅:9.4m
全高:3.89m
エンジン: スヴェンスカ・フリグモーター製 RM6C ターボジェット
(ロールス・ロイス製 エイヴォン 300のライセンス生産、推力 56.89 kN(ドライ)、78.5 kN(A/B)
最高速度:2,119km/h
フェリー航続距離:1,763km
最大運用高度:19,995m
上昇率:10,500m/min
離陸滑走距離:650m
主な派生型 †
- サーブ210
試作機(リルドラケン:小型技術実証機)。
当初、この試験機がドラケンと呼ばれていたが、J35Aがドラケンと名付けられたため、リルドラケン(小さなドラケンの意)に改名された。 - J35A
初期の生産型、事実上の増加試作機。90機製造 - J35B
実質的な最初の実用型。
射撃管制装置の改修が行われ、Rb24及び対空/対地攻撃用に無誘導のロケット弾、100kgもしくは250kg爆弾の運用能力が与えられた。
73機(一部資料では83機)製造 - Sk35C
A型の胴体前半を複座型に交換する形で製造された複座の機種転換訓練型。
固定武装と射撃管制装置は搭載されていないが、対地攻撃能力を持つ。
26機製造 - J35D
エンジンをRM6Bから改良型のRM6Cに変更し、機体内に搭載可能な燃料を増量。 - S35E
D型から射撃管制装置と固定武装を排除し、開いたスペースに偵察用のカメラを搭載した偵察型。 - J35F
レーダー誘導ミサイル直撃作戦に備えて、新型レーダーや誘導弾補助機器など改造。 - J35F-2
赤外線偵察装置71Nや改造型レーダーPS-011を追加したJ35Fの最新型。 - J35J
1987〜1991年の間、F2を改造したJ35の最新型。
エレクトロニクスの改変に伴い燃料搭載量増量や誘導弾増設。1998年配備開始。 - サーブ35H
スイス空軍向けに提案された形式で、A型にFCSを搭載した改造機だが、同時期に売り込みが行われたフランスのミラージュ3をスイス空軍が採用したため採用されず。 - サーブ35XD
デンマーク向け輸出型。
戦闘機型F-35が20機、複座練習機型TF-35が11機及び偵察型のRF-35が生産された。 - サーブ35XS
フィンランド向け輸出型。
戦闘機型で、フィンランドのヴァルメト社によりライセンス生産された。 - サーブ 35Ö
オーストリア向け輸出型。J35Dを改造した戦闘機型。 - 西ドイツ空軍(当時)向け輸出型(型式不明)
核兵器の運用能力を与えられた戦術攻撃機で、ミラージュ3やライトニング等とともに提案されたが、西ドイツ空軍はF-104Gを採用した。