【ドミートリー・ドンスコイ】(どみーとりー・どんすこい)

旧ソ連が1971年に開発を開始した戦略潜水艦

NATOコードは「タイフーン」。
命名規則上は「シエラ」と称するべきなのだが、何故かタイフーンで定着している。

また、ソ連海軍(及びロシア共和国海軍)での公称艦型名はプロジェクト941「アクーラ*1」。
ただしNATOコードで「アクーラ」を割り振られた別のソビエト軍潜水艦971計画型「シチューカB」?)が存在するため、本稿では「ドミートリー・ドンスコイ級」と表記する。

主な設計意図はR-39(3M65/RSM-52/SS-N-20 Sturgeon)?SLBMを搭載可能とする事。
1発100t近いミサイルを20発も搭載するため、水中排水量48,000tに達する史上最大級の潜水艦となった。
この巨体を維持するため、2つの耐圧殻を横並びにした上で外板で多う特殊な構造を採用している。

野心的過ぎる設計と、おそらく金の壁の問題もあって、建造は6隻で打ち切られてデルタIV級に移行した。
後継としてプロジェクト955「ボレイ」級?が建造中だが、大幅に遅延している。

戦略潜水艦であって直接戦闘はあまり想定されていないが、自衛用の魚雷発射管を装備する。
対潜機対策の近接地対空ミサイルも搭載しているが、これは浮上しなければ発射できない。

スペックデータ

艦級タイフーン級原子力弾道ミサイル潜水艦
主造船所セヴマシュ・プレドプリャーチェ*2
船型葉巻型
全長172.8m
全幅23.3m
吃水13.0m
水中排水量48,000t
主機原子力蒸気タービン方式(出力81,600hp)
OK-650型加圧水型原子炉×2基
VV型蒸気タービン×2基
7枚羽スクリュー×2軸
速力
(水上/水中)
12kt/25kt
潜航深度300m
乗員175名
兵装533mm魚雷発射管×2門(Type65K魚雷、RPK-7「Vodopad(SS-N-15)」UUM計22本)
630mm魚雷発射管×4門(Type53魚雷、RPK-2「Viyuga(SS-N-15)」
D-19 SLBM発射筒×20基(R-39/RSM-52(SS-N-20)SLBM×20発)
9K38「イグラ」自衛用対空ミサイル×8発
レーダー「アルバトロス」レーダー
「ナカート-M」レーダー
航法システム「トーボル」航法システム
「シンフォーニヤ」衛星航法システム
ソナー「スカート」ソナー
通信システム「ツナミ」宇宙通信システム
「モルニヤ」無線通信システム


同型艦

艦番号艦名起工進水就役除籍所属
TK-208ドミートリー・ドンスコイ1977.03.031980.09.231981.12.12-北洋艦隊
第18潜水艦師団
TK-202-1980.10.011982.04.261983.12.281995.3.28-
TK-12シンビルスク1982.04.271986.12.171984.12.271996.北洋艦隊
TK-13-1984.01.051985.04.301985.12.301997.-
TK-17アルハンゲリスク1985.02.241986.08.1987.11.06-北洋艦隊
第18潜水艦師団*3
TK-20セヴェルスターリ1986.01.061988.07.1989.09.-北洋艦隊
第18潜水艦師団*4



*1 ロシア語で鮫を意味する。
*2 北方機械建造会社、第402海軍工廠。セヴェロドヴィンスク市。
*3 2004年から予備役。
*4 2004.4.29 予備役編入。

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