【トーネード】
- North American B-45 Tornado
アメリカ軍のジェット爆撃機、B-45の愛称。
- PANAVIA 200 MRCA Tornado
ワルシャワ条約機構軍の脅威に対抗するため、イギリス・ドイツ・イタリアの三カ国が共同開発した多目的戦術機(MRCA)。
共同で機体開発をするため合弁のパナビア社が、同じくエンジン開発のためターボユニオン社が設立された。
原型機の初飛行は1974年8月14日。
高度なアビオニクスを操るため複座型のみの生産となり、長い航続距離やSTOL性能が要求されたために可変後退翼や逆噴射装置を装備するという、小型機としては異例の設計となった。
当初は共通の機体を設計して装備変更により各種任務へ対応する計画だったが、これは実現せず、任務別に三種類の機体が存在する。
一時は日本の次期支援戦闘機(FSX)の母機としてイギリスから提案があったが、サッチャー首相(当時)の懸命の売り込みのかいもなく、実現しなかった。
- トーネードIDS: 阻止攻撃型。
トーネードの基本型。固定武装としてBK27機関砲を二門備える。
敵の地上部隊・前線基地・後方支援・艦艇などに打撃を与えるため開発された。
慣性航法装置とドップラーレーダーの組み合わせにより、高精度の自立航法が可能である。
敵のレーダー網をかいくぐるため、超低空飛行する地形追随飛行能力を持つ。
長距離侵攻のために燃費の優れるRB199ターボファンが設計され、双発で装備された。
対空砲火を避けるためきわめて小型の機体設計となり、低空での安定性を重視して翼面加重?や垂直尾翼面積は大きく設計された。
しかし湾岸戦争では超低空飛行が仇となり、多くの機体が無照準対空砲火の犠牲となった。
超低空飛行を中止した後は高い戦果を挙げた。
英空軍ではGR.1と呼ばれ、偵察型GR.1A、洋上攻撃型GR.1B、能力向上型GR.4/GR.4Aなどの改修型も誕生している。
ドイツ空海軍では偵察ポッドを搭載し、偵察任務に就く機体もある。
イタリア空軍でも偵察ポッドによる偵察任務の他、近代化改修が進行中である。
- トーネードECR: 電子戦闘偵察型。
ドイツ空軍・イタリア空軍で使用されている機体
電子戦闘偵察と謳っているが、実際の主任務は敵防空網制圧である。
固定武装を廃し、レーダー攻撃用のAGM-88と自衛用のAIM-9、ECMポッドなどを装備する。
イタリア空軍ではIDSから改修されたIT-ECRが就役中であり、この型はECRより高性能の電子装置を搭載している
なお、英空軍ではGR.1が敵防空網制圧任務を行っている。
- トーネードADV: 要撃型。
IDSをベースにイギリスが独自開発した全天候戦闘機。
戦闘空中哨戒や要撃などの任務に対応するため、大幅な設計変更がなされた。
空中戦に対応するため、パルスドップラーレーダーの装備、空力特性の改善、エンジンの強化、可変後退翼の自動化などをおこなった。
滞空時間を延長するため、胴体を延長して燃料タンクを増設した。
固定武装はBK27が1門のみで、スカイフラッシュやAIM-9といった空対空ミサイルを装備する。
初期型のF.2、エンジンと電子機器を変更した改良型のF.3、F.2の電子機器をF.3と同等にしたF.2Aがある。
英空軍の他、サウジアラビア空軍に輸出され、イタリア空軍もリースで使用していた。
日本のFSXに提案された型がこのADVで、ADVの長い胴体で燃料容量と兵装搭載スペースを確保した上で、この機のファイアフォックスレーダーにIDSの対地攻撃能力を付与する案であった。
Tornado F3
Photo: Royal Airforce