【テポドン事件】(てぽどんじけん)

1998年(平成10年)8月31日、北朝鮮の大浦洞(テポドン)にあるミサイル基地から「テポドン1号」と思われる弾道ミサイルが、事前通告なしに日本へ向けて発射された事件。
発射後、推進剤を燃やし尽くしたロケットブースターは日本海へ落下。分離した弾頭部はそのまま日本上空を通過し、太平洋の三陸沖に落下した。
北朝鮮政府はこれを「小型人工衛星の打ち上げである」と発表し、その軌道データなどを公表したが、その後の日米双方による調査ではそのような事実は認められず、日本及びアメリカに対する示威行為であるとの見方が一般的。

テポドン1号は日本の上空およそ100kmを通過したと見られたことから「領空侵犯には当たらない」とされており、国際法上ではなんら問題無いのだが、通常、この種の発射実験が行われる場合には、関係する他国に事前連絡をするのが通例となっている。

場合によっては、こうしたミサイルを発射したこと自体が、関係国に対する事実上の宣戦布告とみなされ、戦争状態に突入することさえある。

その後、2009年4月に「テポドン2号」の発射実験が行われ、ほぼ同様のコースを通って太平洋上に落下した。

その後の日本政府の対応

日本ではこの事件を契機に「独自の偵察衛星を持つべし」との声が官民から上がり、2003年に「情報収集衛星」と呼ばれる事実上の偵察衛星の打ち上げが開始され、宇宙空間を通じる情報収集手段が構築されることになった。
衛星の打ち上げ失敗や早期の老朽化などで遅れたものの、2013年に当初計画通りの運用態勢構築を完了している。


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