【スペースデブリ】(すぺーすでぶり)

Space Deblis.(宇宙ゴミ)

地球の周回軌道を回っている人工衛星のうち、何らかの意味ある活動を行っていない物体。
宇宙開発に伴って必然的に発生するもので、その進展に伴って年々数が増えている。

一例として、以下のようなものが該当する。

デブリの対地速度はしばしば秒速1,000mを越えるため、微細なデブリでも強大な破壊力を持っている。
衝突すれば直径数ミリでも人工衛星の機能に障害を及ぼし、1cm以上であれば一撃で宇宙船を破壊し得る。
また、デブリは個々に周回軌道が異なり、衝突やニアミスでの相互干渉も起こるため、回収・制御・回避のいずれも非常に難しい。

デブリになり得る廃棄物は、地球に落ちる軌道に乗せて大気圏に再突入させて処分するのが一般的。
大抵の物体は熱の壁で跡形なく燃尽するが、エンジンなどは燃え残って地表に激突する可能性が残る。
このため、可能であれば海上へ落ちるよう計算して投棄される。
統計によると、毎年100個以上1,000個以下のデブリが地上に衝突しているという。

静止衛星は再突入が困難なため、静止軌道よりも数百km高い「墓場軌道」に乗せることで廃棄する。
ただし、墓場軌道への移動には通常稼働3ヶ月分の燃料と正確な姿勢制御が必要で、成功率は40%に満たない。

スペースデブリ問題は各国の宇宙開発にとって重大な支障であり、対策が急がれている。
比較的大きなデブリ(約10cm以上)に関しては世界共通のデータベースが構築され、常時監視が続けられている*4
また、人工衛星とデブリとのニアミスなどの異常事態では関係諸機関に警報が出されている。
とはいえ、監視されていない軌道不明の危険なデブリも無数に存在するのが実情である。

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*1 現存する最古のスペースデブリは、1958年3月にアメリカ海軍が打ち上げた人工衛星ヴァンガード1号」。
 旧ソ連の「スプートニク1号」、アメリカ陸軍弾道ミサイル局の「エクスプローラー1号」など、これ以前の人工衛星は既に焼滅している。

*2 早期に落下して燃え尽きるように軌道を計算して廃棄されているが、ミスは起こり得る。
*3 大便の機外排出は主に技術的理由から行われていないが、アポロ計画ごろまで小便は真空中に放出されていた。
*4 北アメリカ航空宇宙防衛司令部の宇宙監視ネットワーク(Space Surveillance Network,SSN)やロシアの宇宙監視システム(Space Surveilance System,SSS)など。
 日本では岡山県の美星スペースガードセンター(BSGC)と上斎原スペースガードセンター(KSGC)の2施設でデブリの監視が行われている。


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