【ステン】(すてん)

第二次世界大戦期にイギリスが開発した短機関銃。ステンガンとも。

大戦序盤、イギリスも参加した西部戦線が陥落した際、英軍は撤退を急ぐために大量の装備を投棄した。
これによって生じた甚大な兵站不備を緊急に補うために設計されたのが本銃である。

とにかく安価で容易に生産できる事が最優先されている。
弾薬補充のコストを考慮して弾丸規格をドイツ軍の9mmルガーと共通化するほどだった。

性能上の不満は明らかだったが、確かに生産性は高く、大戦中のイギリス軍にとっては貴重な歩兵小火器となった。

スペックデータ(Mk.II)

口径9mm
全長760mm
銃身長196mm
重量3,180g
使用弾薬9mmパラベラム弾
装弾数32発(箱型弾倉)
作動方式シンプル・ブローバック方式/オープン・ボルト撃発
発射速度約500発/分
銃口初速365m/秒
有効射程46m(50ヤード)


主なバリエーション

  • Mk.1:
    初期生産型。生産工程や材質などの問題で動作不良が多かった。

  • Mk.2:
    Mk.1の改良型で第二次世界大戦中最も多く生産されたモデル。
    耐久性は向上したが、給弾不良は改善されず。
    • Mk.2(S):
      サイレンサー装備モデル。主に空挺部隊に配備された。

  • Mk.3:
    Mk.1の機関部をさらに簡易化したもの。

  • Mk.4:
    空挺部隊向けモデル。
    ストックを回転して折りたたむ事により全長を短くできた。

  • Mk.5:
    最終生産型モデル。
    木製グリップ・銃床を採用。銃剣の装着が可能。

  • Mk.6:
    Mk.5に消音サイレンサーを装備したモデル。
    主にSASに支給された。

独自再設計型

  • ステンMk.I(カナダ製):
    本土のMk.Iと違い木製部品を使っておらず、外観はMk.IIに近い。

  • ロータリーマグ・ステン:
    カナダで開発されたステンガン。
    マガジン投入口が下方になっており、バレルカバー前部に木製の小型グリップを装備する。

  • ステンMk.II(オーストラリア製):
    本土版になかったピストルグリップが機関部と弾倉投入口の下についており、MP40タイプの折りたたみストックがついたので再設計された。

  • デンマーク・ステン・タイプ短機関銃:
    デンマークのレジスタンスがステンMk.IIをベースに開発した短機関銃。
    一部パーツはオリジナルと違うものだがシルエットはステンMk.IIである。


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