【シーウルフ】 †
- SSN-21 Seawolf
1990年代に就役したアメリカ海軍の原子力攻撃潜水艦。
当初、本艦は旧ソ連海軍が1986年に就役させたアクラ?級(プロジェクト971型「シチューカB」)SSNに対抗できる艦として設計・開発が始まった。
高い静粛性などを誇る同艦に対抗すべく、静粛性や氷海行動力・弾庫容量が重視され、アメリカ海軍の潜水艦では初めてとなるポンプジェット推進が採用されるなど、金の壁を無視したコスト度外視の高性能艦として設計された。
また、3番艦「ジミー・カーター」はSEALsやROV(遠隔操作無人探査機)を運用するための区画を設けたことで、同級他の2隻と比較して、船体が30m延長されている。
性能要求は概ね達成したものの、建造の遅延で建造費が21億ドルと高騰したうえ、冷戦終結によって需要を失い、3隻のみで建造を打ち切られている*1。
【スペックデータ】
排水量 (水上/水中) | 7,460t/9,150t |
全長 | 107.6m 138m/128.5m(水線長)(ジミー・カーター) |
全幅 | 12.9m |
喫水 | 10.9m |
予備浮力 | 22.7% |
船型 | HY-100スチール製 葉巻型・単穀式 |
主機関 | 原子力ギアード・タービン推進 ポンプジェット(旋回スラスター付)1軸推進 WEC S6W加圧水型原子炉×1基 蒸気タービン×2基 WEC 2次推進モータ×1基 |
出力 | 52,000shp |
潜行深度 | 600m(最大) |
最高速力 (水上/水中) | 25kt/39kt |
定員 | 133名(士官12名、下士官101名) |
主要兵装 | Mk69 660mm(26インチ)エアタービン駆動 水圧式魚雷発射管×8門 (Mk48魚雷・ハープーン・トマホーク又は機雷を搭載。(弾庫容量52発)) |
ソナー | BQQ-5E統合ソナー (BQS-13、BQG-5A WAA、WLY-1、BQS-24、TB-16EおよびTB-29曳航アレイソナー) |
レーダー | BPS-16 BRD-9 WLQ-4 |
戦闘データ・システム | BSY-2 SUBACS-B CCS Mk2 |
【同型艦】
艦番号 | 艦名 | 主造船所 | 起工 | 進水 | 就役 | 母港 |
SSN-21 | シーウルフ (USS Seawolf) | エレクトリック・ボート | 1989.10.25 | 1995.6.24 | 1997.7.19 | グロトン (コネチカット州) |
SSN-22 | コネチカット (USS Connecticut) | エレクトリック・ボート | 1992.9.14 | 1997.9.1 | 1998.12.11 | グロトン (コネチカット州) |
SSN-23 | ジミー・カーター (USS Jimmy Carter) | エレクトリック・ボート | 1998. | 2004.6.5 | 2005.2.19 | キトサップ海軍基地 (ワシントン州) |
- SS-197 USS Seawolf
1937年〜1938年に建造された「サーゴ?」級潜水艦の2番艦として1939年に就役。
太平洋戦争時には太平洋艦隊に配備され、主に通商破壊任務についていたが、1944年10月3日に友軍の誤爆によって失われた。
【スペックデータ】
排水量(水上/水中) | 1,450t/2,317t |
全長 | 94.6m |
全幅 | 8.2m |
吃水 | 4.2m |
機関 | ゼネラル・モーターズ製248型16気筒ディーゼルエンジン×4基 ゼネラル・エレクトリック発電機×2基 |
最大速度 (水上/水中) | 20ノット(37km/h)/8.75ノット(16km/h) |
試験深度 | 76m |
乗員 | 士官、兵員70名 |
兵装 | 3インチ(76mm)砲×1門 21インチ(533mm)魚雷発射管×8門 機銃 |
- SSN-575 USS Seawolf
アメリカ海軍が2番目に建造した原子力潜水艦。
就役前の1956年、繋留状態での全力試運転中、原子炉(中速中性子炉)の熱伝導材が漏れて7名が放射性物質に被曝するという事故が発生。
アメリカ海軍初の艦載原子炉における放射性物質漏洩事故となった本件を契機に、中速中性子炉は問題視され、就役前公試からは運転出力に制限(最大出力の80%以下)が課され、最大速力の低下を余儀なくされた。
その後、1958年〜1960年に改装が行われ、原子炉を加圧水型に交換されている。
【性能諸元】
船型 | 鯨型 |
排水量(水上/水中) | 3,260t/4,110t |
全長 | 102.9m |
全幅 | 8.40m |
吃水 | 6.70m |
予備浮力 | 14.6% |
主機 | 原子力ギアードタービン GE S2G型溶融金属冷却型原子炉×1基 WEC S2Wa型加圧水型原子炉×1基(改装後) 蒸気タービン×2基 4翼スクリュー×2軸推進 ガピーI型電池×126個1群 |
出力 | 15,000hp |
最大速力(水上/水中) | 23kt/19kt |
安全潜航深度 | 213m |
乗員 | 101名 |
兵装 | 533mm魚雷発射管×6門(魚雷22本または機雷) |
射撃指揮装置 | Mk.101水中射撃指揮装置 |
ソナー | SQS-4 BQR-4A |
【同型艦】
艦番号 | 艦名 | 主造船所 | 起工 | 進水 | 就役 | 退役 |
SSN-575 | シーウルフ (USS Seawolf) | エレクトリック・ボート | 1953.9.7 | 1955.7.21 | 1957.3.30 | 1987.3.30 |
- BAeのミサイル部門(現MBDA)が開発したGWS-25短距離艦対空ミサイルの愛称。
誘導方式はCLOS(コマンド・ツー・ラインオブサイト)と呼ばれる指令誘導、弾頭は重量14kgの榴弾。
専用のVLSを用意するなどの改良を加えた後継のGWS-26も同じくシーウルフと呼ばれる。
【スペックデータ】
全長 | 2.0m(GWS-25) 3.0m(GWS-26 Mod1) |
直径 | 18cm |
翼幅 | 56cm |
発射重量 | 82kg(GWS-25) 140kg(GWS-26 Mod1) |
射程 | 1〜6.5km(GWS-25) 1〜10km(GWS-26 Mod1) |
速度 | マッハ3 |
飛行高度 | 6.5km |
最大射高 | 3,000m |
推進方式 | 固体推進方式 |
エンジン | ブリストル エアロジェット/RPE ブラックキャップ固体ロケットモーター |
弾頭 | HE 破片効果弾頭(14kg) |
信管 | 近接・直撃 |
誘導方式 | 指令誘導 |
誘導装置 | CLOS(コマンド・ツー・ラインオブサイト) |
【主な搭載艦】
・初期型
リアンダー級フリゲート(一部改装)
22型(ブロードソード級)?フリゲート(新造時より搭載)
・後期型
23型(デューク級)?フリゲート
レキウ級フリゲート(マレーシア海軍)
【派生型】
- GWS-25:初期型。箱形の6連装ランチャーに装填される。
- GWS-26:後期型。VLSに装填される。
- GWS-27:撃ちっ放し能力を有する型。配備されず。
なお、1980年代末〜1990年代に発表された長編劇画「沈黙の艦隊」には、本艦の姉妹艦とされる「キング」「アレキサンダー」という架空の艦船が登場している。