【コンベア990】(こんべあきゅうきゅうぜろ)

Convair 990 "Coronado".

1950〜1960年代、アメリカのジェネラル・ダイナミクス社コンベア部門*1が開発・生産した中型ジェット旅客機
前作・880の改良型として開発されたが、後述する理由により、同社最後の旅客機となった。

前作のコンベア880は「世界最速の旅客機」という触れ込みで発売されたが、実際の機体は期待通りの性能が出せず、エンジンの整備性の低さや高騒音と黒煙、操縦の難しさや競合機に比べて少ないペイロード*2など、様々な欠陥を抱えていた。
そこで、アメリカン航空の要求に基づき、コンベア880が進空する前の1958年7月に開発が始まったのが本機である。

本機はコンベア880と基本設計を共通にしつつ、主翼を中心とした空力特性の改善、客席とペイロードの増大*3ターボファンエンジンへの換装、アビオニクスの信頼性向上などの改善が施された。
また、最大速力をマッハ0.91まで引き上げるため、エリアルールに基づく「スピードカプセル」と呼ばれる紡錘形の筒が主翼後縁からせり出すように付加された。

しかし、実際の製品ではそのスピードカプセルが予想以上の抗力を生んでしまい、また、エンジン由来の振動も予想以上に大きくなった。
また、エリアルール亜音速域では効果が薄く、またしても性能が保証値を下回ってしまった。
こうした理由から販売は伸び悩み、1962年に39機で生産ラインが閉じられてしまった。

しかし、コンベア880が直面した信頼性の問題は解消されており「30年耐久」をうたった製造品質も良好だったため、1980年代中盤まで使われ続けた。
なお、日本での運用はなかった。


*1 旧:コンソリデーテッド・ヴァルティ。
*2 ファースト/エコノミーの2クラスで90席と、増大する航空需要に対応できなかった。
*3 ファースト/エコノミーの2クラスで106席を確保した。

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