【コア部隊】(こあぶたい) †

陸上自衛隊の組織の一つで、師団または旅団の隷下にある部隊のうち、平時の充足率を定員の20％に抑えたもの。

陸上自衛隊の師団・旅団は、（北海道に配備された戦車師団の第7師団を除いて）隷下に3〜4個の普通科（歩兵）連隊を擁し、有事にはこれを中核とした「連隊戦闘団」を構成して戦うことになっていた*1が、実際には陸自全体が定員割れしていることもあり、どの部隊も相応の欠員を抱えていた。
これでは、有事の際にどの部隊も戦力不完全な状態で戦闘に突入することになってしまうため、欠員を特定の部隊に集約することで他の部隊の充足率を相対的に高め、一方、欠員を集約された部隊には有事に招集されてくる予備自衛官を集中的に配置し、師団・旅団の予備兵力とすることが考え出された。
これが「コア部隊」である。

コア部隊に指定された部隊には、平時は人的戦力の根幹となる幹部・陸曹のみが配置されており、訓練のため毎年招集される即応予備自衛官の訓練などを受け持つが、内閣総理大臣からの防衛出動命令によって出動する時には、招集されてきた即応予備自衛官を集中的に配置して定員を満たし、師団・旅団または方面隊の予備兵力となる連隊戦闘団を構成して戦闘に参加することになっている。
また、これ以外に「災害派遣出動」や「治安出動」「国民保護出動」の命令が出された際にも必要に応じて即応予備自衛官を招集し、他の部隊と共に行動する。

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コア部隊と方面混成団 †

当初、コア部隊は第一線の師団・旅団の隷下に置かれていたが、実質的な兵力が「班」や「小隊」規模しかない部隊を多数持つことは管理コスト上問題となることが指摘されたため、近年では特定の職種（普通科・特科・施設科及び整備部隊）にコア部隊を集約し、更に一般の予備自衛官や特技教育中の学生と共に方面総監隷下の「方面混成団」という組織の統一指揮下に組み込み、以って運用の効率化・合理化を目指す改編が順次進められている。

2011年4月現在、西部方面隊を除く全方面隊に方面混成団が作られており、それぞれ、コア化された1個普通科連隊が置かれている。

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主なコア部隊 †

ここでは連隊クラスの部隊のうち、部隊全部がコア化されたものを記す。

北部方面隊
部隊名上級部隊所在地
第73戦車連隊第7師団北海道・南恵庭駐屯地
第52普通科連隊
(2011年4月新編*2)		北部方面混成団
(同左)		北海道・東千歳駐屯地
東北方面隊
部隊名上級部隊所在地
第38普通科連隊*3東北方面混成団宮城県・多賀城駐屯地
東部方面隊
部隊名上級部隊所在地
第31普通科連隊東部方面混成団神奈川県・武山駐屯地
第48普通科連隊第12旅団群馬県・相馬原駐屯地
中部方面隊
部隊名上級部隊所在地
第49普通科連隊第10師団愛知県・豊川駐屯地
第47普通科連隊*4中部方面混成団*5広島県・海田市駐屯地
西部方面隊
部隊名上級部隊所在地
第19普通科連隊第4師団福岡県・福岡駐屯地*6
第24普通科連隊第8師団宮崎県・えびの駐屯地
*1 ちなみにこの考え方は、アメリカ陸軍が1950年代に歩兵師団の編制として採用した「ペントミック」編制をモデルとしている。
*2 当初は2011年3月末に編成の予定だったが、東日本大震災にともなう災害派遣出動対応のため延期されていたもの。
*3 コア化された当初は第6師団の隷下にあった。
*4 コア化された当初は第13旅団の隷下にあった。
*5 本部は滋賀県・大津駐屯地に所在。
*6 駐屯地自体は春日市に所在する。

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