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*&ruby(こあぶたい){【コア部隊】}; [#x59c4f05]
[[陸上自衛隊]]の組織の一つで、[[師団]]または旅団の隷下にある部隊のうち、平時の充足率を定員の20%に抑えたもの。~
[[陸上自衛隊]]内にいくつか存在する、平時には実働していない[[部隊]]。~
有事における[[予備自衛官]]の配属先として確保されている。~
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陸上自衛隊の師団・旅団は、(北海道に配備された[[戦車]]師団の第7師団を除いて)隷下に3〜4個の[[普通科]]([[歩兵]])連隊を擁し、有事にはこれを中核とした「連隊戦闘団」を構成して戦うことになっていた((ちなみにこの考え方は、アメリカ陸軍が1950年代に歩兵師団の編制として採用した「[[ペントミック]]」編制をモデルとしている。))が、実際には陸自全体が定員割れしていることもあり、どの部隊も相応の欠員を抱えていた。~
これでは、有事の際にどの部隊も戦力不完全な状態で戦闘に突入することになってしまうため、欠員を特定の部隊に集約することで他の部隊の充足率を相対的に高め、一方、欠員を集約された部隊には有事に招集されてくる[[予備自衛官]]を集中的に配置し、師団・旅団の予備兵力とすることが考え出された。~
これが「コア部隊」である。~
現在の[[陸上自衛隊]]は、組織全体が常態的に定員割れとなっている。~
これは志願制である限り([[徴兵制]]を敷かない以上は)解決できない恒常的な問題であると考えられている。~
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コア部隊に指定された部隊には、平時は人的戦力の根幹となる幹部・陸曹のみが配置されており、訓練のため毎年招集される[[即応予備自衛官]]の訓練などを受け持つが、内閣総理大臣からの防衛出動命令によって出動する時には、招集されてきた即応予備自衛官を集中的に配置して定員を満たし、師団・旅団または方面隊の予備兵力となる連隊戦闘団を構成して戦闘に参加することになっている。~
また、これ以外に「災害派遣出動」や「治安出動」「国民保護出動」の命令が出された際にも必要に応じて即応予備自衛官を招集し、他の部隊と共に行動する。~
この状況下で人員を均等に割り振ると、多数の[[部隊]]が戦力弱体化・機能不全を引き起こす危険性がある。~
かといって、重要な[[部隊]]の充足率を優先させると「紙面上にしか存在しない、実働不能の幽霊部隊」が生まれてしまう。~
後者の決断を前提に、あえて作られた「全く機能しない[[部隊]]」がコア部隊である。~
~
2005年以降行われている陸自の組織改編で、コア部隊は師団・旅団の隷下から各方面隊の隷下に編成される「方面混成団」の隷下に順次組み込まれることになっているが、2010年3月現在、東北方面隊のみ移行が完了している。((中部方面隊では、方面混成団隷下部隊と師団・旅団隷下部隊が混在している。&br;  また、北部方面隊でコア化されている第73戦車連隊は方面混成団隷下に入らない予定。))~
平時のコア部隊には中核となる[[幹部>士官]]・[[陸曹>下士官]]のみが配置され、[[即応予備自衛官]]の訓練などを担当する。~
有事には[[予備自衛官]]を集中的に配属して一時的に定員を満たし、[[方面隊]]・[[師団]]・[[旅団]]の予備兵力として運用されるものとみられる。~

**コア部隊と方面混成団 [#ubbc180d]
当初、コア部隊は第一線の[[師団]]・[[旅団]]の隷下に置かれていた。~
しかし、全く機能しない[[部隊]]を常に抱えておき、一個[[小隊>部隊]]以下の人員に対して[[連隊]]規模の[[兵站]]管理体制を敷くのは明らかに無用な負担である。~
また、練度の衰えた[[予備自衛官]]に、現役精鋭部隊と同じ技術水準を要求するのは無理がある。~
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このため、近年ではコア部隊の運用を効率化・合理化するために以下の改編が順次進められている。

-[[普通科]]・[[特科]]・[[施設科]]および整備部隊のみにコア部隊を集約。
-全てのコア部隊を、各方面総監隷下に組織された「[[方面混成団>混成団]]」の指揮下に組み込み集中運用。

現在、各[[方面隊]]では1個の方面混成団を隷下に置いており、各混成団には普通科1〜2個[[連隊]]相当のコア部隊が組み込まれている。

>なお、方面混成団は平時にコア部隊を運用し、訓練任務などを実施する部隊でもある。~
よって、[[予備自衛官]]や[[自衛官候補生]]などの教育部隊も方面混成団に組み込まれる。

**主なコア部隊 [#f37f508d]
ここでは連隊クラスの部隊のうち、部隊全部がコア化されたものを記す。
ここでは[[連隊]]規模の部隊のうち、全体がコア部隊であるものを記す。~
部隊名が''太字''の部隊は、設立当初からコア部隊であったものである。

,''北部方面隊'',==,==
,部隊名,上級部隊,所在地
,第73戦車連隊,第7師団,北海道・南恵庭駐屯地
,第4普通科連隊((2011年3月に任務を第52普通科連隊に引き継ぎ、フル編成部隊に再改編の予定。)),第5旅団,北海道・帯広駐屯地
,第52普通科連隊&br;(2011年3月新編予定),北部方面混成団&br;(同左),北海道・東千歳駐屯地&br;(予定)
,''東北方面隊'',==,==
,部隊名,上級部隊,所在地
,第38普通科連隊((コア化された当初は第6師団の隷下にあった。)),東北方面混成団,宮城県・多賀城駐屯地
,''[[東部方面隊]]'',==,==
,部隊名,上級部隊,所在地
,第31普通科連隊,第1師団((2011年3月、東部方面混成団隷下に編入予定。)),神奈川県・武山駐屯地
,第48普通科連隊,第12旅団,群馬県・相馬原駐屯地
,''中部方面隊'',==,==
,部隊名,上級部隊,所在地
,第49普通科連隊,第10師団,愛知県・豊川駐屯地
,第47普通科連隊((コア化された当初は第13旅団の隷下にあった。)),中部方面混成団((本部は滋賀県・大津駐屯地に所在。)),広島県・海田市駐屯地
,''西部方面隊'',==,==
,部隊名,上級部隊,所在地
,第19普通科連隊,第4師団,福岡県・福岡駐屯地((駐屯地自体は春日市に所在する。))
,第24普通科連隊,第8師団,宮崎県・えびの駐屯地
|>|>|>|''[[北部方面隊]]''|
|部隊名|上級部隊|所在地|備考|
|''第52普通科連隊'' |北部方面混成団|北海道・真駒内駐屯地&br;(第2普通科中隊は旭川駐屯地、第3普通科中隊は帯広駐屯地)| |
|>|>|>|''[[東北方面隊]]''|
|部隊名|上級部隊|所在地|備考|
|第38普通科連隊 |東北方面混成団|宮城県・多賀城駐屯地&br;(第3・第4普通科中隊:青森県・[[八戸駐屯地>八戸航空基地]])|コア化された当初は[[第6師団>第6師団(自衛隊)]]の隷下にあった。|
|>|>|>|''[[東部方面隊]]''|
|部隊名|上級部隊|所在地|備考|
|第31普通科連隊 |東部方面混成団|神奈川県・武山駐屯地(連隊本部・本部管理中隊)&br;隷下部隊は板妻・朝霞・習志野・北富士の各駐屯地に所在|コア化された当初は[[第1師団>第1師団(自衛隊)]]の隷下にあった。|
|''第48普通科連隊'' |~|群馬県・相馬原駐屯地(連隊本部・本部管理中隊)&br;隷下部隊は高田・松本・新発田・宇都宮の各駐屯地に所在|当初は[[第12旅団>第12旅団(自衛隊)]]の隷下部隊として編制。&br;2013年に東部方面混成団隷下部隊として[[再編成]]。|
|>|>|>|''[[中部方面隊]]''|
|部隊名|上級部隊|所在地|備考|
|''第49普通科連隊'' |中部方面混成団|愛知県・豊川駐屯地|創設時は[[第10師団>第10師団(自衛隊)]]の隷下にあった。|
|''第47普通科連隊'' |~|広島県・海田市駐屯地&br; (第1普通科中隊のみ香川県・善通寺駐屯地)|創設時は[[第13旅団>第13旅団(自衛隊)]]の隷下にあった。|
|>|>|>|''[[西部方面隊]]''|
|部隊名|上級部隊|所在地|備考|
|第19普通科連隊 |西部方面混成団|福岡県・福岡駐屯地|コア化された当初は[[第4師団>第4師団(自衛隊)]]の隷下にあった。|
|第24普通科連隊 |~|宮崎県・えびの駐屯地|コア化された当初は[[第8師団>第8師団(自衛隊)]]の隷下にあった。|
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