【クラッシュ症候群】(くらっしゅしょうこうぐん)

打撲・圧迫による外傷が原因で発生する循環器系の症候。

筋肉細胞が壊死する際、細胞に含まれていたカリウム・ミオグロビン・乳酸などの成分が血液中に漏出する事が原因で起こる。
これが大量に発生すると意識混濁・チアノーゼ・失禁などの症状を呈し、重篤な事例では心臓発作や急性腎不全によって死に至る。
血管が圧迫されていると循環が滞って前述の成分が大量に蓄積され、解放された際に一気に全身に回って重篤な症状を呈する事が多い。

傷を負ってから発症するまでに時間差があり、いったん軽傷と診断された後で急死する事例が少なくない。

建物の倒壊や交通事故などで瓦礫に圧迫されて発症する事が多く、事故・災害における救急医療において配慮する必要がある。
また、紛争においても負傷者の応急処置(圧迫止血など)が発症を誘発する事があり、衛生兵の任務においても配慮を要する。
殴打による打撲でも発症する場合があり、いじめ・リンチ・儀式・拷問などで殴り回されて死に至った事例も散見される。

人間の腕力による暴行でクラッシュ症候群による死を引き起こすとなると、全身痣だらけになるほど延々と殴り続ける必要がある。
これは人間が殺意を持って動いた結果としては非常に不自然であり、むしろ嗜癖や惰性としての無意味な暴力が疑われる。
また人間を死ぬまで殴り続けるのは危険な重労働であるため、集団で寄ってたかって一人を暴行している事例が多い。
(例外的に、飢餓や拘束で体力の衰えた人間や、元から体力の低く体の小さな乳幼児などは一人でも比較的容易に撲殺できる)

体のどの部位の筋肉からでも発症し得るが、臨床では手足の負傷が原因となっている事例が多い。
筋肉は比較的強靱で損傷に強い組織であり、筋肉の壊死より先に出血・内臓破裂など危急の致死的問題が生じる事が多い。
一方、手足には損壊が即死を意味するような組織がないため、クラッシュ症候群を発症するまで生存している可能性が高い。

発症したクラッシュ症候群の治療には血液成分の除染・調整が必須であり、救急医療現場での処置は困難である。
特に、組織が大規模に壊死している場合(瓦礫に手足を潰された場合など)、患部を切開・切除しなければ助からない事例も少なくない。

関連:エコノミークラス症候群


トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS