【クフィル】(くふぃる)

IAI Kfir (ヘブライ語で「若獅子」の意)

イスラエルのIAIが製造していた戦闘機
IAIミラージュ5デッドコピーにあたるネシェル(ヘブライ語で鷲の意。輸出型はダガーと呼ばれる。)を製造していたが、搭載されていたSNECMAアター09C-5エンジンの調達問題*1や、出力への不満があったことから、F-4と共通のJ79ターボジェットに変更した機体である。
オリジナルのアター9C3よりもタービン入口温度の高いエンジンを搭載するために胴体は再設計され、胴体上にアフターバーナー冷却用のサブインテイクが追加された。
また、初期の機体は「滑走路上から敵機が目に見える」などと揶揄されるイスラエル独自の戦闘環境から、稼働率向上のため目標捜索レーダーを持たず、測距用の空戦レーダーのみを装備している。

ライセンス生産ではあるが)アメリカ製のエンジンを使用しているため、アメリカから輸出を制限されており、イスラエル軍以外の採用実績はエクアドルやスリランカ、コロンビアと極少数にとどまっている。
アメリカでは海軍や海兵隊が、クフィルに若干の改修を加えた機体をF-21「ライオン」と称し、アグレッサー用にリースを受けていたことがあった。

主に制空任務に投入されたシャハクネシェルと違い、本機の主任務は対地攻撃であり、空対空戦闘での撃墜記録は、1979年6月27日にシリアのMiG-21F-15と共同撃墜したのが最初で最後である(スコア0.5機)。

バリエーション

  • クフィルTC.2
    C.2の複座練習型
  • クフィルC.7
    アフターバーナーなどを改良し、出力を更に向上したもの。また、目標捜索レーダーを装備している。
    コロンビアにも少数が輸出された。また、スリランカも追加発注により数機を配備。
  • クフィルTC.7
    C.7の複座練習型
  • クフィルC.10
    アップグレード型。クフィル2000、クフィルCEとも呼ばれる。
    外見上は南アフリカのチーター戦闘機によく似た形状をしている。
    エクアドールのクフィルC.2が1999年よりCE仕様に改修・配備されている。

http://www.masdf.com/altimeter/nellis2005/gnd/s/IMG_1173.jpg

F-21(C.2ベース型)


*1 第三次中東戦争により発動された、フランス政府による対イスラエル武器禁輸措置が解除されなかったため、予備部品の調達も困難になる危惧があった。

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