【カーラ】(かーら)

Kara class
旧ソ連が開発した大型駆逐艦
ソ連・ロシア海軍ではビェールクト型巡洋艦(1134型 ヴィツェ=アドミラール・ドロースト級)と呼ばれる。
西側では、艦の性格から駆逐艦、大きさとしては巡洋艦クラスとされるが、ソ連・ロシア海軍での分類では1134型が「ロケット(ミサイル)巡洋艦」、1134A型と1134B型が「大型対潜艦(駆逐艦)に分類される。

カーラ級(ロシアではビェールクト-B型(1134B型 ニコライエフ級))は同じニコライエフ造船所された1134・1134A型(クレスタI型/II型)の発展型駆逐艦で、新型のガスタービン推進装置や対潜攻撃重視の兵装など、ソ連の当時の最新技術を多数搭載し、1番艦は1971年に「ニコライエフ」として黒海艦隊に就役した。
大型の艦艇に分類される事からしばしば艦隊旗艦として使用され、さらに4番艦アゾフのみ試験艦として改装され、兵装をバージョンアップ(SA-N-6グランブル等)し、対空戦闘力を向上させている(1134BF型と呼ばれている)。
なお、アゾフのSA-N-6発射実験は1978〜1979年に黒海で実施。その後SA-N-6キーロフ級やスラバ?級の主兵装として採用されている。

現在は製造された7隻中3隻が退役、スクラップとして処分されてしまい、4隻のみが残っている。
そのうち普通に使用されているのは3番艦「ケルチ」のみで、2番艦「オチャコフ」は予備役として保管され*1、4番艦「アゾフ」、7番艦「ウラジオストク」は除籍され、港に係留されている。

ロシア海軍(1134B型)

  • 1番艦 1971年就役 黒海艦隊 Николаев(ニコライエフ)(1994年退役)
  • 2番艦 1973年就役 黒海艦隊 Очаков(オチャコフ)(予備役として保管。1990年代末から係留)
  • 3番艦 1974年就役 黒海艦隊 Керчь(ケルチ)
  • 4番艦 1977年就役 黒海艦隊 Азов(アゾフ)(2002年除籍。港に係留中)
  • 5番艦 1976年就役 太平洋艦隊 Петропавловск(ペトロパブロフスク) (1994年退役)
  • 6番艦 1979年就役 太平洋艦隊 Ташкент(タシケント)(1994年退役)
  • 7番艦 1980年就役 黒海艦隊 Владивосток(ウラジオストック)(旧Таллин(タリーン)
    (1990年代から係留・1994年に除籍)

性能諸元(1134BF型 アゾフ)

タイプ:大型対潜艦
全長:173m
全幅:18.60m
喫水:6.70m
排水量:8,200t(基準)/9,700t(満載)
機関:COGAG方式ガスタービンエンジン(M-62巡航用タービン×2基・12,000馬力+M8Eブースト用タービン×4基・80,000馬力)
合計出力:92,000馬力
推進器:2軸
速力:34kt(63km/h)
兵装:SS-N-14サイレックス(RPK-3 メチェーリ)艦対潜ミサイル4連装発射機2基(8発)
SA-N-6グランブル(S-300F フォールト)艦対空ミサイル発射機1基(24発、アゾフのみ搭載)
SA-N-3?ゴブレット(シュトールム)艦対空ミサイル発射機1基(26発、アゾフ以外は発射機2基、72発)
SA-N-4ゲッコー(9K33オーサ/9K33MオーサM)艦対空ミサイル連装発射機2基(40発)
RBU-6000?対潜ロケット12連装発射機2基
RBU-1000?対潜ロケット発射機2基
533mm魚雷発射管4門(アゾフ以外は10門)
AK-726DP 76.2mm連装対空対水上砲2基(4門)
AK-630 30mmガトリング砲CIWS4基
艦載機:Ka-25またはKa-27対潜ヘリコプター×1機を搭載。


*1 修理と近代化改修が行われる予定だが、工事途中で港に係留されたままになっている。

トップ 新規 一覧 単語検索 最終更新ヘルプ   最終更新のRSS