【エンタープライズ】(えんたーぷらいず)

enterprise
事業や冒険心などを意味する抽象名詞で、艦艇などの名称としてたびたび用いられる。
本項目では、アメリカにおける代表的な例を挙げる。

  1. CV-6 USS Enterprise
    ヨークタウン航空母艦の2番艦。「ビッグE」とあだ名されることもある。
    3隻建造されたヨークタウン級の中で、唯一太平洋戦争中の撃沈を免れた艦である。
    日本軍からの攻撃で十数回の損傷を被ったがその度に修理を施し、終戦までに日本の艦艇を70隻以上沈めたといわれる。

    【性能諸元】
    艦名エンタープライズ(CV-6 USS Enterprise)
    艦種ヨークタウン級航空母艦
    排水量
    基準/満載
    19,800t/27,100t
    全長247m
    全幅35m(艦幅:25m)
    吃水8.5m
    最大速力34.6kt
    機関バブコック&ウィルコックス社製ボイラー×9基
    パーソンズ式蒸気タービン×4基4軸推進(120,000馬力)
    航続距離10,400浬/15kt
    艦載機固定翼機:最大90機(F4F/F6F/F4U/SBD/SB2C/TBD?/TBFなど)
    乗員士官/兵員2,919名
    武装Mk.12 38口径5インチ単装砲×8門(1943年撤去)
    75口径1.1インチ機関砲×4連装4基
    ブローニングM2 12.7mm機関銃×22基
    エリコン 20mm機関砲×30基(1943年設置)
    ボフォース40mm機関砲×4連装4基(1942年10月)
    レーダーCXAM-1
    エレベーター3基
    カタパルト3基(飛行甲板×2基 格納庫×1基)
    母港サンディエゴ(カリフォルニア州)
    起工1934/07/16
    進水1936/10/03
    就役1938/05/12
    退役1947/02/17
    解体1960/05
    造船所ニューポート・ニューズ造船所(ヴァージニア州)*1

  2. CVAN-65 USS Enterprise(後にCVN-65)
    世界初の原子力空母。上記1.の艦と同様に「ビッグE」と呼ばれることがある。
    キティホーク級の船体設計をもとに、8基のA2W型加圧水型原子炉を搭載して建造された。
    化石燃料による蒸気タービン推進では成し得なかった長大な航続能力と加速力を実現し、原子力艦船のメリットを証明した。
    しかし8基もの原子炉を搭載する本艦はコスト・パフォーマンスが非常に悪く、同型艦が建造されることはなかった。
    続くニミッツ級では、大型の原子炉が2基のみ搭載されている。
    2016年に「ジェラルド・R・フォード」級航空母艦と交代予定である。

    【性能諸元】
    艦名エンタープライズ(CVAN/CVN-65 USS Enterprise)
    艦種エンタープライズ級原子力空母
    排水量
    (基準/満載)
    75,700t/93,284t
    全長336m
    全幅76m(艦幅:40m)
    吃水10.7m
    速度33.6kt
    機関ウェスティングハウス A2W加圧水型原子炉×8基
    蒸気タービン×4基 4軸推進(出力280,000hp
    艦載機固定翼機/回転翼機×84機
    乗員士官/兵員4,600名
    武装RIM-116「RAM」21連装発射機×2基
    Mk.29 8連装シースパロー発射機×3基
    ファランクスCIWS×2基
    母港サンディエゴ(カリフォルニア州)
    起工1958/02/04
    進水1960/09/24
    就役1961/11/25
    造船所ニューポートニューズ造船所(ヴァージニア州)
    備考RAM発射機搭載後

    640px-USS_Enterprise_%28CVN-65%29.jpg

  3. OV-101 Enterprise
    NASAスペースシャトル計画において製作された「オービター(軌道船)」1号機。
    TVドラマ『スタートレック』に登場する、同名の宇宙船にちなんで名づけられた。*2
    同型機に「チャレンジャー(OV-099)」「コロンビア(OV-102)」「アトランティス(OV-103)」「ディスカバリー(OV-104)」「エンデバー(OV-105)」及び「パスファインダー(実物大模型・STA-098)」の6機があった。

    本機は実用機ではなく、実用機が地球に帰還する際の滑空飛行を試すための試験機であり、外観はほぼ同じなものの、他のオービターになされている宇宙飛行に必要な装備がなされておらず、宇宙へ飛び立てるようにはできていなかった。
    実はそれらの装備を実装する改修計画があったが、地上試験機であった「チャレンジャー」を改修することになり幻となった*3

    B747を改造した専用の輸送機に載せられて上昇し、空中で切り離されて滑空試験に供された。
    現在はワシントンD.Cにある国立航空宇宙博物館の展示物となっているが、退役した「ディスカバリー」が同館で展示されることに決まったため、ニューヨークの「イントレピッド海上航空宇宙博物館*4」へ移されることになっている。

*1 現ノースロップ・グラマン・ニューポート・ニューズ
*2 本来は別の名前になるはずだったが、スタートレックのファンがNASAに「エンタープライズ」と名付けようというキャンペーンを張ったという逸話まである。
*3 後に、当のチャレンジャーが爆発事故で失われたことを受け、その補充代替として宇宙飛行能力の実装が検討されたこともあったが、コストが余分にかかることから見送られ、ストックされていた予備部品を利用して「エンデバー」が建造された。
*4 退役したエセックス正規空母「イントレピッド(USS Intrepid CV-11)」の船体を博物館に改装したもの。

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