【エコノミークラス症候群】(えこのみーくらすしょうこうぐん)

旅客機への搭乗などで、長時間同じ姿勢を取りつづけることにより、手足の静脈に血栓(血のかたまり)ができて起きる循環器系の病気。
医学的には「静脈血栓塞栓症(じょうみゃくけっせんそくせんしょう)」と呼ばれている*1
発症すると、呼吸困難や胸焼け、動悸、冷や汗、血圧低下などの症状を引き起こし、最悪の場合は死にまで至る。

当初、長距離国際線のエコノミークラスに乗っていた乗客の発症例がしばしば報告され、「『湿度が20%と低く*2、かつ座席幅も狭い』というエコノミークラスの客室環境が、この病気を発症する条件を備えている」とされたことからこの名がついた。
しかし、その後の研究で、エコノミークラスよりも更に座席幅が広いビジネスクラスファーストクラス、長距離を走る列車やバスなどでも発症する可能性があることが指摘されている。

事実、日本では海外のクラブチームでプレイしていたある日本人プロサッカー選手が(日本代表チームのメンバーに招集されて日本へ帰国した時に)ビジネスクラスに乗っていて発症したことが報道され、話題となったことがある。
また、「長距離トラック・タクシーの運転手」「自然災害時に自家用車内で避難生活をしていた被災者」などの発症例も報告されている。

予防には「少しでも下半身を動かす」「フライトアテンダントに申し出て、適度に水分を取る(ただし、アルコールやカフェイン類はより水分を排出してしまうので推奨されない)」などがある。


*1 これ以外にも「旅行者血栓症」「ロングフライト血栓症」などという名もある。
*2 B787の項にもあるように、湿気により構造材が腐食する恐れがあったため、旅客機においてキャビンを加湿することは長らくタブーとされていた。

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