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*&ruby(えあしょー){【エアショー】}; [#d33db490]
Airshow.~
[[飛行機]]や[[ヘリコプター]]、その他[[航空機]]を地上展示もしくは飛行展示する行事。~
「航空ショー」「航空祭」とも。

**エアショーの目的 [#j882b501]

エアショーは大まかにわけて3種類が存在する。

+国軍、もしくは自治体や政府が主体となり開催し、国民への認知や将兵の[[士気]]高揚を目的としたもの。~
わが国で行われるエアショーの殆どがこの部類に入り、各地の[[航空基地>飛行場]]で、[[自衛隊]]および[[在日アメリカ軍]]が主催して毎年一回行われている。~
世界的に見ても、おおむね入場料は無料であり、物理的な理由などで入場が困難にならない限り自由に入場できる。~
但し、国によっては([[テロ>テロリズム]]予防などの理由から)入場の際に身分証明書が必要とされることがある。~
~
+[[航空機]]関連メーカーが主体となり、商談を目的としたビジネスショーの一環として行われるもの。~
[[パリエアショー]]や[[ファンボローエアショー]]が世界的に有名で、隔年で交互に行われており毎年数兆円にものぼる取引が行われている((このうち、すでに内定していた受注をあえてエアショー時に発表し、話題を盛り上げる経営戦略を取るメーカーも少なくないため、実質的には何割か少ない。))。~
日本では4年に一度の[[国際航空宇宙展]]がある。~
商談中心のビジネスデーと一般人向けのパブリックデーに分かれ、規定の入場料を支払って見学が可能である。~
多くの場合、[[航空機]]だけではなく、兵器システムや軍事関連機器の見本市を兼ねている。~
~
+完全にショーとして行われるもの。~
エンターテイメントを追求し多彩な演出が[[航空機]]によって行われる、最もエアショーと呼べる形態である。~
英国の[[ロイヤルインターナショナルエアタトゥー]]、米国の[[オシュコシュエアショー]]が有名。~
運営費は入場料によって賄われるため、航空に理解が薄く、収益が見込めないわが国ではあまり行われていない。~
[[オートボルテージュアエロバティックス]]等が数少ない例である。
***[[軍事]]的エアショー [#g19d2e13]
国民への認知や将兵の[[士気]]高揚を目的として[[軍隊]]や自治体・政府が開催するもの。~
おおむね入場料は無料であり、極度の混雑など特別な理由がない限り自由に観覧できる。~
ただし、[[テロ>テロリズム]]対策などの理由から警備上の手続き((身分証明書の提示など))が求められる事はある。

***航空ビジネスショー [#pe1810e2]
見本市など、商談の場を設定する目的で[[航空機]]関連メーカーや業界団体が主催するもの。~
大抵は兵器システムなど航空関連機器もの見本市を兼ねている。~
軍需産業にとっての勝負時で、毎年数兆円に及ぶ取引が行われるという((ただし、そのうち半分弱は宣伝目的で「事前に示し合わせて内定した契約をエアショー時に発表する」ものだが。))。

事前に招待された取引関係者以外は立ち入り禁止とするのが原則。~
ただし、別途に入場料を取って一般公開を行う「パブリックデー」を設ける事が多い。

***エンターテインメント [#geb65345]
興業を目的として行われるエアショー。~
実際には[[軍隊]]や関連企業の協賛が入り、前者二つの要素を併せ持つ事が多い。~
とはいえ、総じて商業色・政治色は薄く、観客の興味を惹き楽しませる事に重点が置かれる。~
イベント運営費を入場料によって賄うという側面もある。

その性質上、[[航空機]]を趣味の対象としてみるファン層が多い国でなければ運営が難しい。

**世界の著名なエアショー [#ebfe85e2]
-[[パリエアショー]]
-[[ファンボローエアショー]]
-[[国際航空宇宙展]]
-[[ロイヤルインターナショナルエアタトゥー]]
-[[オシュコシュエアショー]]
-[[オートボルテージュアエロバティックス]]

**日本のエアショー事情 [#df98b26a]
前項で触れたように、わが国のエアショーの殆どは[[自衛隊]]、もしくは[[在日米軍>在日アメリカ軍]]の主催で行われる。~
~
自衛隊のそれは「航空祭」や「エアフェスタ」と呼ばれ、在日米軍基地では「フレンドシップデー」などと呼称する場合が多い。~
[[戦闘機]]の常駐する基地、特に[[岩国基地]]や[[三沢基地>三沢飛行場]]で行われる日米共用の[[飛行場]]では、飛行展示の充実度も高く、例年10〜20万人もの観客が訪れる。~
~
多くの観客の最大の目的は、やはり[[ブルーインパルス]]であろう。~
トラブルやスケジュール上などの問題で展示が行われない事が事前に分かっている場合、例年に比し万単位で来訪客が減る事がある。~
~
わが国の制限された国土地勢上、[[戦闘機]]の配備されている航空基地は大抵僻地にあり、近隣都市のみならず日本全国から地元の人口を遥かに超えた人数が訪れるため、経済的に地元に大きく寄与する。~
よって[[自衛隊]]、[[米軍>アメリカ軍]]と自治体や商工会議所などの地元産業が一体となった協力体制の下で開催される場合が多い。~
~
しかしながら、僻地にあると言う事は交通の便が悪いと言う事である。~
一部の航空マニアや現地で勤務する[[自衛官]]から「隔離基地」と呼ばれている[[百里基地>百里飛行場]]では、かつては最寄の駅が辛うじて電化された単線のローカル鉄道で、運行本数も1時間に1〜3本、かつ徒歩2時間という状況で((しかし、鹿島鉄道が2007年に営業廃止されてしまったため、鉄道で行くにはJR石岡駅、水戸駅を降りて、シャトルバスを利用しなければならない。))、基地に続く道路も片側1車線のものが数本((常磐自動車道千代田石岡ICで降り、国道6号から小川方向に向かうのが最短。しかし、当日はかなりの交通渋滞が予想されるため、遠回りしなければならない。))と、お世辞にもアクセスが良いとは言えない。~
そのため、同基地の航空祭では例年大渋滞が発生し、特に2004年は[[サンダーバーズ]]が来日したため、悪天候であったにも関わらず、最寄駅からのシャトルバスが到着に8時間弱もの時間を要し、「始発のシャトルバスが到着した時点で既に航空祭は終わっていた」という有様となった。~
>なお、現在では百里基地の官民共用化に伴い常磐道から空港への直通自動車専用道の建設が進んでおり、渋滞事情に劇的な改善が見込まれている。
日本のエアショーのほとんどは[[自衛隊]]および[[在日米軍>在日アメリカ軍]]の主催で行われる。~
自衛隊は「航空祭」「エアフェスタ」、在日米軍は「フレンドシップデー」などと称する。~
[[軍隊]]の扱いが良いとは言えない政治事情の影響もあり、民間のエアショーはほとんど行われていない。

運営側もこうした渋滞問題を重く見たのか、飛行場からやや離れた場所に複数の駐車場を用意し、そこからシャトルバスを運行する「パークアンドライド方式」をいくつかの航空祭で導入し、基地周辺の渋滞解消に一定の成果をあげているようである。~
しかし、これもイベント終了後の分散誘導に問題が有り、結局は駐車場を出たクルマは皆同じ道を通って帰宅しようとするため、渋滞の場所が変わっただけとの指摘もある。~
~
一方、[[厚木基地]]は[[百里基地>百里飛行場]]とは全く異なり東京から1時間、横浜から30分、列車は5分おきに運行という優れた立地に存在し、土日の開催で観客総数が40万を突破する大規模なエアショーが例年開催されていた。~
しかし、[[厚木基地]]のエアショーは余りの立地の良さが仇となり、エアショー自体の開催が2000年を最後に完全に廃止された。~
[[厚木基地]]の周辺は横浜や東京に近いことからベッドタウンとして栄えている人口密集地であったため、エアショーの騒音や安全性の問題から地元の自治体や反戦団体から再三の中止要求が提出されていた為である。~
また、[[厚木基地]]同様、首都圏に位置する[[入間基地]]のエアショーにおいても騒音問題は毎年取り沙汰されており、交通の便の良さから毎年十数万人の観客が訪れるが、特に爆音の大きい[[戦闘機]]の展示飛行は殆ど行われていない。~
~
また、我が国は[[航空機]]を対象とする趣味を持つ人が欧米諸国と比べて少ないため、民間主導のエアショーもあまり活発でないのが実情である。
日本の航空基地の大半が僻地にある関係上、エアショーでは近隣人口を遙かに超える数の観光客が訪れる。~
[[岩国基地]]や[[三沢基地>三沢飛行場]]で日米共同開催されるエアショーは特に盛んで、例年10万人以上の観客が見込まれる。~
この経済効果は並ならぬものがあり、自治体・商工会議所などの地元産業と協賛して地域の一大イベントとなっている事も多い。

**脚立問題 [#w2abe908]
エアショーに行くとほぼ確実に脚立を利用し写真やビデオを撮影している航空ファンを見掛けるであろう。~
数万、数十万人が押し寄せるエアショーにおいて人の頭を気にせずに撮影する事は極めて困難である。~
朝早く現地に出向き、最前列を確保することができればよいが、全ての人が最前列を確保する事は不可能である。~
そのため、最前列を確保できなかったカメラマンが視界をクリアにするために脚立が用いられる事が少なくない。~
~
確かに、脚立を使えば他人の頭を気にせずに撮影が出来るようになり、見栄えの良い写真や動画が出来上がるであろう。~
しかし、その脚立の後ろに居る人たちにとってみれば迷惑極まりない行為である。~
だからといって「後ろの人が少し移動すれば良い」と言う問題でもない。~
混雑した会場では容易に移動できない場合もあり、また脚立利用者は多数居るため、移動しても脚立利用者が居ない場所などはそう簡単に見つかるものではない。~
~
最近では脚立の利用を全面禁止とするエアショーも増えつつあるが、会場で脚立が禁止である旨を流しても無視して使用し続ける利用者も居る。~
むしろ脚立利用者が多数居るという集団心理からか、アナウンスを聞いて使用をやめる人の方が少ない。~
この脚立の利用については、長年の間航空ファン達の間で議論され続けている。~
賛否両論があるが、殆どの場合非難の的となっている。
>ちなみに、多くの場合は[[ブルーインパルス]]の[[曲技飛行]]が目玉企画となる。~
ブルーインパルスの不在が周知された年にはそれだけで数万人も客足が遠のくという。

関連:http://www.mod.go.jp/asdf/info/event.html (航空自衛隊イベントスケジュール)
ただし、僻地で開催されるため、航空祭の当日には交通インフラの処理能力が限界を超えてしまう。~
当日の大渋滞はほぼ常態であり、酷い時には最寄駅からのシャトルバスの始発が到着に8時間を要した事さえある((始発のシャトルバスが会場の[[百里基地>百里飛行場]]に到着した時、その年の航空祭はもう終わっていたという。&br;  なお、現在では百里基地の官民共用化に伴って直通自動車専用道の建設が進んでおり、渋滞事情の改善が見込まれている。))。

一方、[[厚木基地]]・[[入間基地]]など首都圏に位置する航空基地でもエアショーは行われる。~
最盛期には観客総数が40万を突破する大規模なエアショーが例年開催されていた。~
しかし、人口密集地でのエアショーは騒音・[[墜落]]危険性などに関する苦情が相次ぐ。~
この動きを受け、[[厚木基地]]では2000年を最後にエアショーの開催を取りやめている。~
また、[[入間基地]]においても爆音の大きい[[戦闘機]]の飛行を自粛する動きが出ている。


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